【腹を空かせたクマが市街地へ】新潟県が堅果類豊凶調査の結果を発表、県民への強い注意喚起も
新潟県鳥獣被害対策支援センターは9月26日、新潟県庁において、「令和5年度堅果類豊凶調査の結果」について発表した。ツキノワグマは、秋に冬眠に向けてエサを求めて活発に動き回る。新潟県では、エサとなるブナなどの木の実の豊凶が人里へのツキノワグマの出没に影響することから、毎年、ブナ等の堅果類の豊凶調査を実施している。この調査は、佐渡島および粟島を除く県内全域を対象に8月1日から8月31日までの間に県内239地点で実施された。
調査の結果、主に奥山に分布している、ブナは凶作。ブナに比べ人里に近い地域に分布しているミズナラ、コナラは不作であり、クリ、オニグルミは並作だった。
このことから今秋は、奥山でのエサ不足が予測され、人里に近い里山や柿などの果樹がある人里にも出没する可能性が高く、注意が必要。特に上越地域では他の地域と比べ結実状況が悪く、より強いクマへの警戒が必要だ。
新潟大学農学部の箕口秀夫教授は調査結果を受け、「多くのクマが餌を求めて人里、さらには市街地に出没することが予想される。朝早くや夕方などクマの活動が活発になる時間帯のクリやくるみの収集には最新の注意を払う必要がある」と話した。
続けて、「キノコ採りや登山、ハイキングに適した季節になってきたが、最新のクマ出没情報の確認、単独ではなく複数で行動する、鈴やラジオを持ち歩くなどの対策が必要。また、さらにクマ撃退スプレーなどを持ち歩くなどの対策も必要だ」と注意喚起を行った。
加えて、「柿や収穫後に残った作物などを求めて人里や市街地に出現する可能性がある。そこで、クマの餌となるものや隠れ場所などを徹底的に除去することが必要だ。具体的には、柿や栗は早めに収穫し、不要な木は伐採する、収穫しなかった農作物を放置せずに処分、生ゴミやペットフードなどは臭い漏れがないようにきちんと保管する、倉庫や車庫などの入り口をしっかりと施錠するといった対策が必要となる」と語った。
クマの目撃情報は、例年だと9月、10月、11月の3か月間に急増する傾向にある。特に統計的に見ると10月に入ると跳ね上がっていく傾向にあるという。
新潟県内において、9月25日時点でのクマの目撃件数は629件。この数値は平年並みからやや増加の傾向にある。そういった中、これから10月にかけて一気に増加することが想定される。
新潟県民には、クマに対してのより強い警戒心が求められる季節となってくる。
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