【「不登校とフリースクールの実態、知ってほしい」】フリースクール経営者が新潟県長岡市で講演
2022年10月、文科省は令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」を公表した。調査の結果、小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は244,940人(前年度196,127人)で、児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は25.7人(前年度20.5人)。不登校児童生徒数は9年連続で増加し、過去最多となっている。
このような不登校への支援の一つとして、民間によるフリースクールが全国で展開している。一方、不登校に関して未だ無関心な人々が多く、わが子が当事者になって初めて慌てる保護者も多いという。加えて、現状のフリースクールも、経営面などの部分で、まだまだ難しい課題を抱えている。
そうした不登校の現状やフリースクールの現状を知ってもらおうと、新潟県長岡市にあるまちなかキャンパス長岡では27日、「まちなか学カフェ フリースクールってなに?-現代の不登校を考える-」が開催された。講師はNPO法人学びスペースあうるの森代表で、フリースペースを運営している山田竹紘さん(37歳)である。
山田さんによると、子どもが不登校になることで、親の躾や教育のせいにされ、保護者が鬱になるケースも多いという。「不登校はどの子にも起こり得る。親の躾と不登校は関係ない。自分を責めないで」と山田さんは、当事者を抱える家族へ呼びかける。
また不登校に対する国の支援も、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が施行されたことにより、学校復帰を目指した支援から、必ずしも復帰を目標としない支援に切り替わったことなどを紹介し、学校に代わる子どもの居場所として、自治体が設置する適応指導教室や民間のフリースクールなどを紹介した。
長岡市内からイベントに参加した長岡市職員の砂山文(あや)さん(50代)は、「不登校は教育の機会が奪われることに繋がるとつながると思ったという。話を聞きながら、時代とかけ離れている学校のスタイルになじめない子どもでも安心できる居場所があることが大切だと感じた。
講師を務めた山田さんは、「普段、不登校について、一般の方や教育関係者が触れる機会がないので、今日皆さんの前でお話しできたことは意味のあること」だとした上で、「不登校の子どもや保護者がより良く生きて欲しい。(話をすることで)少しでも不登校やフリースクールの実態を知ってもらい、社会の観方が変わってもらえれば」とコメントした。
(記事・撮影 湯本泰隆)