【「良い守り方」を継ぐことで体現】瓢亭(新潟市中央区)へ国有形文化財の登録証、所有者が想い語る

登録有形文化財として登録された「瓢亭(旧花岡家住宅)」(新潟市中央区)

8月7日、新潟市内の建造物3棟が新たに国の登録有形文化財として登録された。そして、9月28日、このうちの一つである、新潟市中央区古町通にある「瓢亭(旧花岡家住宅)」において、新潟市歴史文化課から同所の所有者に登録証が手渡された。

「瓢亭(旧花岡家住宅)」は、古町花街の街路に面する元芸妓の住宅兼稽古場として使用されていた建物。塀で囲った前栽と玄関を構えた二階建て町家。各座敷は小唄や清元の稽古場と客座敷に使い分けた。現在は鰻・日本料理店として活用されている。

鰻・日本料理店として営業する「瓢亭」は、2020年に閉店した新潟三越の上層階で元々は営業していた名店。そして、新潟三越の閉店を機に店舗を移す際に、移転先を探していたところ、現在の「旧花岡家住宅」に行き着いたという経緯がある。

偶然にも旧花岡家は、旧花岡家は瓢亭の川崎晴樹代表取締役社長の生家の目の前にあり、内見をした際にすぐに気に入り移転を決めたという。

それから約8カ月の改修期間を経て、古町花街の歴史を色濃く残す「瓢亭(旧花岡家住宅)」は、新たに生まれ変わった。

登録証を手渡す様子

左から 瓢亭の川崎晴樹代表取締役社長 新潟市歴史文化課の萬歳真紀課長

新潟市歴史文化課の萬歳真紀課長から登録書を受け取った瓢亭の川崎社長は「新潟三越が閉店すると聞いて、これからどうしようかと考えていた時に、この場所と出会った。向かいの場所が私の生誕の場所で、5歳か6歳になるまで、(旧花岡家住宅周辺で)よく遊んでいた記憶がある」と話した。

続けて、「初めて建物の中に入った時、古町の中という事を忘れるくらい、静けさがあって独特な雰囲気があると感じた。その後、金額も聞かずにその場で欲しいと即決した。譲っていただけるのであれば、ぜひ欲しいと言ってしまうくらい魅力的な建物だった」と愛着を語った。

川崎社長の息子であり「瓢亭」の5代目でもある川崎晴久氏は今後について、「こういった建物は、今、全国でも注目度が高いと思いますので、自分たちでできる範囲で長く維持できるようにしていきたいと思っている。『良い守り方』を僕たちが継ぐことで体現していけたらと思っている」と展望を述べた。

建物への愛着と歴史継承への意気込みを語る「瓢亭」の5代目川崎晴久氏(写真右)

瓢亭の中の様子 店舗内の随所に歴史への配慮とこだわりが詰め込まれている

 

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