【キシャメシ】9月29日 卵&きのこそばで一足先にお月見 今泉(新潟県三条市)
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものだとこの時期になると思う。7月から8月にかけてあれほど猛暑に苦しめられ、報道も過熱していたが、もうすっかり過ごしやすい気候になり、取材先への足も近場ならばつい徒歩になる。
三条市内を歩いていると、いかにも老舗らしい蕎麦屋が目に入った。ちょうどいいので今日の昼食はここにしよう。
メニューを開けば、オーソドックスな蕎麦・うどん以外にも、「にしんそば」や「かき玉うどん」、エビフライ入りの「カレー南蛮そば」まである。迷いに迷ったが、表に出ていた看板の「きのこそば」に書かれていた「季節のおすすめ」という言葉を信じてみることにした。しかし注文をする時、ふと気がつく。今夜は十五夜である。店員さんに頼み、卵もトッピングしてもらった。
よく見たらピザやガレットまであるやけにオシャレなメニューに驚愕しているうちに、蕎麦が到着した。深いどんぶりから立ち上る湯気、そして熱々のつゆにほんのりと白身で朧がかった黄身。一足先にお月見である。
蕎麦は柔らかく、つゆを絡めてさらりといけるタイプ。一方で、きのこはどれもごろごろと大ぶりで、その弾力ある触感がまた蕎麦によく合う。卵を崩して七味を振ればまた一変し、濃厚な風味がたまらない。
つゆまですっかり飲み干すと、夏に戻ったように汗が滲んでいた。だが店を出れば風は涼しい。やはり秋である。夜には曇天が晴れることを願って仕事へ戻った。
(編集部・T)
【グーグルマップ そば処 今泉】
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。