【県内企業の反応は?】約半数が「50円以上」の最低賃金の上昇を許容、東京商工リサーチ新潟支店アンケート
株式会社東京商工リサーチ新潟支店は9月27日、新潟県「最低賃金引き上げに関するアンケート調査」の結果を公表した。
同アンケートは、8月1日から9日の期間に実施し、有効回答124社を集計、分析したもの。
「最低賃金の上昇に、貴社はどのような対策を実施、または検討していますか?(複数回答)」という問いに対して、対策の最多は、「商品やサービスの価格に転嫁する」の41.1%(124社中、51社)だった。次いで、「設備投資を実施して生産性を向上させる」29.0%(36社)、「雇用人数を抑制する」10.4%(13社)の順。何らかの対策に言及した企業が57.2%(71社)に対し、「できる対策はない」は9.6%(12社)だった。
一方、「最低賃金上昇の影響はない」は33.0%(41社)で、67.0%の企業が最低賃金上昇の影響に対応する必要に迫られている。
貴社で許容できる来年度(2024年度)の最低賃金(時給)の上昇額は最大でいくらですか?という問いに対して、今年度の最低賃金を基準に、来年度許容できる最低賃金の引き上げ額について、53社から回答を得た。
全国に於ける最低賃金の引き上げ幅は、2021年度が平均28円、2022年度が同31円、今年度が同41円だった。こうした状況下で、来年度に「50円以上」の最低賃金の上昇を許容できる県内企業は過半数の52.8%(28社)だった。一方、「50円未満」の企業も47.1%(25社)で拮抗している。
また、「50円未満」の企業のうち、全体の5.6%を占める3社が「許容できない(0円)」と回答した。規模や業種によって、現状の最低賃金が上昇すると収益内で人件費の捻出が厳しくなる企業と、物価高への対策として賃上げに積極的な企業との二極化が広がっている。
東京商工リサーチ新潟支店はレポートの中で、「新潟県に於いて最低賃金引き上げの『影響がない』と回答した企業が33.0%を占め、今年度の最低賃金を基準にして来年度は『50円以上の余力がある』と回答した企業も過半数(52.8%)を占めた。一方、企業の5.6%は来年度の最低賃金上昇を『許容できない』と回答し、約1割(9.6%)の企業は最低賃金上昇に『できる対策はない』とするなど、二極化が鮮明になっている」と指摘。
また、「通常の賃上げと異なり、最低賃金を上回る賃金支払いは企業の義務だけに、人件費の捻出に向け『価格転嫁』(41.1%)や『設備投資による生産性向上』(29.0%)などが、現実的な対応策になっている。企業の自発的な賃金引き上げを促すには、価格転嫁に向けたサポートや各種税の引き下げ、収益力を高めるための投資支援など、即効性のある対策が急務になっている」と分析している。