【社長インタビュー】京都・祇園へ新店舗、寿司の弁慶(新潟県佐渡市) 「イタリアンレストラン」のような寿司屋と西日本進出への布石とは
寿司店経営の株式会社弁慶(新潟県佐渡市)が11月29日、京都の祇園にカニ専門店「カニカニランド」と寿司店「OBENKEI」を開店する。同社が西日本へ店舗を構えるのは初。日本随一の観光地で歓楽街だが、同社の小崎和彦代表取締役社長は「高級路線ではなく、本格的な寿司をカジュアルに楽しむことのできる、まるでイタリアンレストランのような雰囲気を目指す」と話す。
今回は、京都進出までの道のりとその戦略、そして、これからの西日本展開について話を聞いた。
目次
○日本を代表する観光地でカジュアルに本格寿司を
○カニ専門店は西日本進出への布石?
○オンリーワンの店舗を西日本にも
日本を代表する観光地でカジュアルに本格寿司を
──今回、弁慶として初めての西日本の店舗となります。まずは、出店までの経緯について教えてください。
現在進められている大阪駅周辺の再開発に際し、近畿への出店話がいくつか来ていた。大阪への視察のついでに京都にも足を運んでみたのだが、そこで紹介された今回の物件に一目惚れをした、というのが始まり。祇園は日本を代表する土地。まず、理屈抜きでやってみたい、と思った。
また、京都祇園店は元々カフェだった物件でもあることから、居抜きで初期投資のコストを大幅に抑えられる点も魅力的だった。
──店舗の概要やコンセプトについても教えてください。店舗内の写真を見ると、カフェだった頃の面影も残すような、カジュアルな雰囲気を感じます。
高級路線の寿司屋ではなく、イタリアンレストランのような雰囲気を目指している。祇園というエリアは、いわゆる「一見さん」が入ることのできるような店が少なく、地元の人もここへ食事へ行く習慣が無いと聞いた。なので、むしろ地元の人や一般的な観光客、外国人客が気軽に入れるような店は新しいのではないか、と考えた。
祇園というエリアの景色や風情を楽しみながらも、カジュアルに寿司や刺し身、天ぷらを楽しめる店。今回については「新潟」というブランドよりも、そうした方向性を重視した店にしている。価格も地元客が認めてくれるようなラインで、そこへ徐々に観光客も追随してくれるようになれば。もちろん、提供するのは我々が長年やってきたものと同じく、ハイクオリティな料理。ネタを厳選し、シャリには赤酢を用した本格寿司。
我々は回転寿司から始まった店。元々高級路線というよりも、その土地のニーズに合わせた店を考えている。ただ、今回に関しては周辺の店と毛色が異なるため、「こういう店だ」と認知されるまでは時間がかかるかもしれない。地元への定着を目指していきたい。
──店名について、今回はこれまでとは少し違うネーミングですね。
ある意味で弁慶の集大成なので、最初は「The 弁慶」とでもしようかと考えていたが、それは少しおこがましいかな、と。そうした時に、京阪電車の「おけいはん」を見て「OBENKEI(おべんけい)」という名前を思いついた。
カジュアルという店のコンセプトにも合わせて、ロゴにも漢字を使わず、全体的にポップで重くならないようにしている。ロゴを使って店員用のポロシャツも作った。お客さんには親しみを込めて店名を呼んでもらえたら。
カニ専門店は西日本進出への布石?
──今回は、寿司屋だけでなくカニ専門店を併設している形も特徴的ですね。
店舗の1階をカニ専門店「カニカニランド」、2階を寿司の「OBENKEI」にする形になっている。どちらか一方が満員になったら空いているもう一方に回すなど、柔軟に対応することができる。寿司店とカニ専門店どちらかを単独で出すよりも、これからの動きを見ながら変化させていくことができると思っている。
「カニカニランド 京都祇園店」が新潟市の店舗と異なるのは、西日本で穫れる松葉ガニなども手に入れることができる点。早い時期にストックし供給を安定させ、うまく使い分けていこうと考えている。
──大阪への出店を検討したことから今回の店舗は始まっていますが、今後の西日本への展開についてもお聞きします。
通年で活ガニを提供できる専門店は少ないため、大阪の件もそれで「カニカニランド」へ声がかかった。そして今後、大阪駅周辺に「カニカニランド」を出す予定になっている。
祇園の店舗は、その布石とも言える存在。偶然だが、居抜きで入った祇園の店舗は想定以上に厨房が広く、カニのストック用水槽を置くことができた。祇園の店舗を基地にして、大阪の店舗にもカニを供給していこうと考えている。
オンリーワンの店舗を西日本にも
──これまで、県外では首都圏を中心に展開していましたが、そちらの地域についてはいかがでしょうか?
浦和にフランチャイズで新店舗を置き(「佐渡廻転寿司 弁慶 浦和パルコ店」 2023年4月開店)この半年間、既存店ではダントツの売上。しかし、首都圏は既に飽和状態。初期投資も、ランニングコストも大きい。フランチャイズ展開の可能性はあるが、直営店を新しく出すことについて今は考えていない。
一方で、関西はこれから首都圏よりも魅力があると考えている。京都・祇園は居抜き物件で大阪は小規模な店になるが、この2店舗の結果次第では今後の展開も考えている。
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回転寿司から始まった弁慶だが、新規出店のたびに少しずつ店の形を変え、また、立ち食い寿司店なども経営している。「どこにでも同じ店舗ではなく、それぞれがオンリーワンの店舗」と話す小崎社長の考えを反映した形だ。西日本という同社にとって未知のエリア。回転寿司一本では掴めなかったチャンスであり、また試行錯誤できるだけの選択肢とノウハウを持つからこそ果敢に挑戦できるのだろう。
新天地・京都と大阪でのこれからは楽しみだが、またその経験から次はどのような展開を繰り出すのか──その「次の次」の一手にも今から注目したい。
【カニカニランド、OBENKEI 京都祇園店】
住所:京都府京都市東山区元吉町67
営業時間:11時から15時、17時から22時
定休日:水曜日
【グーグルマップ カニカニランド、OBENKEI 京都祇園店 出店予定地】
【関連リンク】
弁慶 webサイト
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この記事は、株式会社弁慶提供による広告記事です。
(聞き手 鈴木琢真)