【芸術の秋】秋深まる長岡、アートの祭典 第61回長岡市美術展覧会開幕(新潟県長岡市)
芸術の秋である。今年も長岡市美術展覧会の季節がやって来た。1960年から始まった同展は、今年で第61回を数える。日本画、洋画、彫刻、工芸、書道、写真の計6部門から、708点の応募があり、そのうち、572点の入賞・入選があった。展覧会初日となる10月31日には、アオーレ長岡のナカドマで、開場式が行われた。
毎年、規模が大きく、クオリティの高い作品が集まる同展だが、出展者の平均年齢も高くなってきているなか、若い世代の育成がひとつの課題となっているようである。磯田達伸長岡市長は、式典の中で、「若い人たちが悩みながら、新しい時代を迎えていますけど、一方で、アートを産み出す心というものが、新しいものを生み出すのに不可欠。若い人たちに芸術を生み出す技・心を伝えてほしい」と参加者に呼び掛けた。
洋画部門で『雪どけ』という作品を出品した紗龔 愛裡紗(さりゅうありさ)さん(41歳)は、長岡市在住の気鋭の作家である。普段は青を基調にした抽象画などを制作し、地元以外にも東京等で作品の出店、販売などを行っている。今回はなんと、同展は初めての出品であるという。「今まで市展があることは知っていたが、今回市役所で出展案内をみつけ、名前を知ってもらえる機会になれば」と思い、出品した。絵具に立体感を出す‟メディウム“というアクリル絵の具を使って、雪が解ける様子をイメージして描いたという。「展示してもらって嬉しいです。是非見てください」とコメントした。紗龔さんは、11月15日から長岡市摂田屋6番街発酵ミュージアム米蔵でも個展を開催するという。
また、写真部門で『次は僕、全集中』というタイトルの作品を出品したのは、長岡市在住の関茂雄さんである。「他の方の作品を見ると、勉強になる」という。書道部門でじっくり作品を鑑賞していた長岡市在住の70歳女性も、「今回先輩の作品が出展されているので、見に来た。皆さんの作品が素晴らしく感動する」と述べた。また、洋画部門で作品を鑑賞していた見附市在住の70代女性は、「2,3回目の鑑賞になる。今回は洋画に対策が多いような気がする。(市展は)長岡の人以外にも、見附の人の作品もあって規模が大きい。前に日本画をやっていたことがあるので、楽しませてもらった」と感想を述べた。
長岡市美術協会の坪内雪山会長(71歳)は、どの部門も作品そのものは皆さん一生懸命に取り組んでいる。書道に関しては、描き方はうまいがやや力が大人しい作品が選ばれた。写真に関しては、数が多い分、良いものが多かった。作品一つひとつにドラマがある」と、講評した。
(記事・撮影 湯本泰隆)