【キシャメシ】魚卵マニアの記者、発祥の地で、本場のはらこ飯を食らう!(宮城県亘理町)
本日はお休み。無性に魚卵を食べたくなるときがある。魚卵を使った旬の料理が食べたくて、記者が向かった先は宮城県亘理町である。当地発祥として伝わっているのが、サケといくらを使ったソウルフード「はらこ飯」である。
「はらこ」とは、地元の言葉で「いくら」を指す言葉である。サケの腹にいる子「腹子」からそう呼ばれるようになったという。
そもそも宮城県には北上川、鳴瀬川、阿武隈川をはじめとする大小さまざまな河川があり、毎年秋になるとサケが産卵のために遡上する。そのため、白サケ類の漁獲量は全国トップクラスとされている。100年以上も前から人工ふ化放流事業を行うなど、サケを大切な食糧源として扱ってきた。そのような地域で、はらこ飯が誕生するのも必然である。その歴史は古く、もともとは阿武隈川に遡上してくるサケを地引網で獲っていた地元の漁師たちの間で食べられていたものだという。あの伊達政宗も、ご当地で荒浜の運河工事を視察した折に、領民に献上されたことでも知られている。
各家庭によって味付けが異なり、それは新潟の「のっぺ」のようなおふくろの味である。
今回は、本格讃岐うどん店「東京うどん」のはらこ飯を戴いた。宮城にお店を構えるうどん屋さんがなぜ東京の地名を冠しているのか。それは東京縫製という縫製会社が経営しているうどん店だからだそうだ。同店のうどんは、表面はつるつる。それでいて、コシが強く、のどごしもかなり良い。汁も、あっさりしていて癖がないので、多くの人が食べやすい味になっている。
そんなお店の自慢のはらこ飯ということで、記者の期待は大きい! みそ汁とセットで1,950円である。ランチの価格として1,000円越えは、出費としては少し痛いが、せっかく新潟から楽しみにして来たのだ。本場で食べる付加価値として、その辺りの価格は妥当だと思う。
清潔感の漂うお店。食事を注文した人に、ドリンク1杯無料のサービスもうれしい。店内には、店のマスコット的存在なのだろうか、ロボットが、ずっと一人でおしゃべりしていた。なかなか個性的なうどん店だ。
オーダーしてしばらくすると、さっそく料理がやってきた。器いっぱいのはらこ飯と、アツアツの青さの味噌汁。これは、宮城の別の店でも感じたのだが、現地の飲食店で提供される味噌汁の暖かさが、新潟の飲食店のイメージより、ずいぶん熱い気がする。それも寒い地方故なのだろうか。はらこ飯を食べる前に、まずは味噌汁に口をつけてみる。ちょうどよい濃さ、青さのほんのりとした味、そしてアツアツの味噌汁が、とてもおいしい。体が暖まる気分になる。
そして、本命のはらこ飯に箸をつける。まずは、ご飯の上いっぱいに乗せられたサケを一枚一枚はがし、口に含む。ちょうど産卵期の脂ののった抜群の時期のサケの味だ。もちろん、たまらなくおいしい。味付けされたご飯の味とも、よくマッチしている。
お次に、いくら。こちらもプチプチ感がたまらない。これを食べに、はるばる新潟から来てよかった。心からそう思う。
結局、15分ほどで完食し、店を後にした。
ところで、宮城県は笹かまぼこの発祥地でもある。こちらも、名前の由来には伊達政宗が絡んでいる。それが、伊達家の家紋「竹に雀」に描かれている笹の葉に似ていることから名付けられたという。
「東京うどん」のすぐ隣には、地元ではよく知られている、㈱馬上かまぼこの店舗もあり、かまぼこの試食や購入もできる。こちらもなかなかお勧め。是非、旅の途中に寄りたい二店舗だ。
さて、宮城の名産を、思いっきり堪能した。新潟へ帰ろう。
(編集部・Y)
【グーグルマップ 東京うどん】
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。