【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース
記者コラム
ジェネラリストというスペシャリストか
先日、多角的なビジネス展開とライフデザインに即した雇用システム採用で注目される株式会社トアイリンクス(新潟市中央区)の佐藤ユウキ代表取締役にインタビューした。
佐藤さんは、都内大手でキャリアを積んだ後、故郷の新潟市にUターン。出産後に再び仕事に復帰しようと思い就活を開始したが、地方都市で女性活躍の場があまりにも少ないことに驚いたという。前職で、チームのマネジメントや生産工程の管理業務、運用フローの作成など、マネジャーとしてキャリアを積んだ佐藤さんだったが、新潟でそういう仕事を探そうと思っても「若い女性にそういったスキルは求めていない」と一蹴されるばかりだったのだとか。
日本、特に新潟のような地方において「管理職」というのは、社歴の長いベテラン男性社員に与えられる「論功行賞」的ポジションというのがお定まり。管理職が老害の吹き溜まりでしかないのなら、果たして、「管理職」という概念がない組織を試してみたいという気にもなる。
ジャーナリストの佐々木俊尚さんがコラムの中で実に含蓄のあることを話している。
現代社会では、それぞれの分野で専門性が高まっていることで、社会そのものを難しくしている。とはいえ、これからはジェネラリストよりもスペシャリストがより求められる時代になるのは明白で、それを見越してか今の若い人たちは管理職になりたがらない。マネジャーになったところで新たに知見が得られないからだという。
グロ―バルな視点で言えば、事業の規模がある程度以上になりマネジメントする人が必要になったら、「管理職」の「専門家」を外から招へいするという組織作りが定着しており、Googleも経営が軌道に乗った後に、著名な経営者のエリック・シュミットをCEOに迎えている。
もはや「管理職=偉い人」という時代ではなく、人間関係の調和をはかりながらチーム力を最大限に引き出すというスキルを持つ、管理職もひとつの専門職なのである。
そして佐々木さんは、そんな管理職業務に対して「AI時代でも生き残る可能性の高い仕事だと思う」と述べている。
ところで私たちは今、国政の舞台で実にバカげたマネジメントを目の当たりにしている。買収目的で区議に金を配る法務副大臣、税金を収めずに開き直る財務副大臣、不倫報道で辞任する文部科学政務官を「適材適所」と称して配する国政マネジャーのことだ。その姿を見るにつけ、本当にAIにさせた方がマシなんじゃないかと悲観的になる。
内閣総理大臣など、要約すれば「マネジメント能力くらいしか」求められていないようなポジションなのに、徹底的に向いていない人なのではないかと思う。
案の定、現在の内閣支持率は自民党の支持率を下回っている。身内から「この人では選挙を戦えない」と見切られているのだ。
(編集部 伊藤直樹)
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