【キシャメシ】新潟市中央区のハイカラな店「アベック食堂」で、チキンライスが心にしみる
以前から気になっている店がある。新潟市中央区日ノ出町にある「アベック食堂」。いわずもがな「アベック」という店名が気になっているわけで、編集部の中でもナウなヤングで通っている記者としては捨て置けない存在なのだ。30歳より下の世代は、言葉の意味すら知らないかもしれない。
とはいえ記者も、アベック食堂の存在を知ったのは30年以上前。近くを車で通りかかったときに看板を見つけて「平成の今時にアベックだなんて、ハイカラじゃないか」と思ってから30年以上が経過、元号が変わってもついぞ足を運ぶ機会がなかった。
令和5年になる本日、ようやくその扉を開く。
場所は新潟市の中央区と東区を結ぶ旧7号線、馬越跨線橋のたもとにある。バス通りから一本入った道で、跨線橋がある関係で道路から看板が見えにくくなっている。
ネットの情報では、今の店主が3代目だそう。看板は、経年から字がかすれており、既に良い味を出している。
店に入ると、ピンク電話や箸立て、皆が見られるように高い場所にあるテレビなど、昭和の大衆食堂を彩るアイテムの数々が目に入り、郷愁が掻き立てられる。「アベック」という言葉を人の口から最後に聞いたのもおそらく昭和。ぜひとも次の時代に語り継いでほしいワードだ、アベック。
席について卓上のメニューを拝見。大衆食堂というより最近何かとホットな「街中華」という類か。メニュー構成を見ると本格派寄りの中華メニューも数多い。その中で敢えて記者は「チキンライス」(税込750円)をオーダー。これまた、最後に店で食べたのは多分、昭和だったと思う品目だ。アベックに比べれば、こちらは浜田雅功のクリスマスソングでご存じの若者も多かろう。最近はこれを単体で扱う店も珍しくなった。
テレビの画面が「夢グループ」の通販番組から「ミヤネ屋」に変わったのと同時に、チキンライスは着皿。そうそう、安定のこのビジュアル。山の頂上のグリーンピース3つが泣かす。
一口。記者が「こうあって欲しい」というチキンライスの味だ。「こういうので良いんだよ」。
チキンライスは決して「オムライスの中身」ではない。鶏肉=チキンが主役であるべきなのだ。ここのは柔らか美味いチキンがちゃんとアイデンティティを示している。ケチャップ味の濃さも記者好み、バター風味がほんのり乗っているのも良い。
そこそこ良い歳になって、ある程度舌も肥えてきたけど「俺はまだまだ、チキンライスでいいや」と思わせるチキンライスが、アベック食堂にはあった。
(編集部I)
【アベック食堂】
新潟市中央区日の出1丁目11-6
営業時間 11時~14時半 16時半~19時半
定休日 金曜、第三日曜
<グーグルマップ>
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。
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