【空の道を拓く】「物流ドローン」+「新幹線トランジット」を活用し、佐渡の特産品を超速で首都圏に運ぶ実証事業開始(動画)<再掲載>
JR東日本新潟シティクリエイト株式会社(新潟市)とAIR WINGS合同会社(東京都)は、国土交通省の「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」の採択を受け、実装に向けた実証事業を、新潟市・佐渡市の協力のもとスタートさせた。
11月21,22日には、佐渡市の赤泊で水揚げされたばかりの特産品(メガニ・南蛮エビ)をドロ―ンに載せて飛ばし、新潟駅から新幹線に乗せ換えて東京の飲食店に届けるテスト輸送が行われた。
メディアの公開解禁日となる22日は、南蛮エビを載せたドローンが道の駅あいぽーと佐渡(佐渡市両津)から7時50分に飛び立った。ドローンは8時45分に新潟市中央区の西海岸公園に着陸し、車に乗せ換えられ新潟駅へ。さらにここから新幹線に乗り換えて一路東京へ、という道のり。13時45分には無事、東京都中央区銀座の「方舟大吟醸しずく店」に到着。佐渡―東京の一貫したドローン物流を初めて成功させた。
今回の実証事業に使用されたドローンは株式会社空解の「QUKAI MEGA FUSION3.5」で、機体の選定については「佐渡―新潟間56㎞を勘案して、より長距離輸送や重量に耐えうる機体を選ばせていただいた」(AIR WINGS 林賢太社長)とのこと。
実証事業の結果では佐渡―東京間を約6時間の所要時間となった。従来の船便とトラックの陸送による物流では丸1日~1.5日を要するため大きく時短されたといえる。今後、ドローンポートの専有化などによる離着陸地点の最適化や、乗せ換え作業のスピードアップが図られると、所要時間4時間までは短縮できるという見立て。この日運ばれた南蛮エビの重量は2.2㎏。
事業化された場合、一便で3万円程度の利用料金が想定されるため、高級志向のユーザーがターゲットとなるか。ドローンを活用した高速便というストーリー性が付加価値を産めば、需要の可能性は広がる。乗せ換え作業の部分がシームレスになれば、ますますの時短とオンデマンド対応も可能に。将来的に厳格な輸送管理が求められる医療関連品の輸送にも対応できるようになれば、医療機関へのラストワンマイルをドローンが担うことで離島医療物流が抱える様々な課題解決にもつながる。
JR東日本新潟シティクリエイトの志村和臣常務取締役は「『これからの駅の使い道』を考えるうえで、新幹線を活用した物流トランジットの拠点とすることはひとつの可能性。その場合に課題となるファーストワンマイル、ラストワンマイルをドローンが担えれば、駅を結節点とするビヨンド・ステーション構想の可能性は広がる」と話した。
(文 撮影 伊藤 直樹)
11月22日掲載記事