コジマタケヒロのアルビ日記2023 Vol.23 2023年シーズン最終節 「タイトルを」

デンカビッグスワンスタジアム(2023年12月3日撮影)

「ホッともしていませんし、終わったという感じもありません。もうちょっと何か自分でも反応したほうがいいのかなという感じもあるくらい、本当に何も変わらない日常の1日という感覚が僕の中にはあります」

ホームで迎えた最終節・C大阪戦を勝利し(○1-0)、セレモニーを終えた松橋力蔵監督は、記者を前にこう話した上でさらに続けた。

「シーズンをやっていく中で、個々のレベルもチームとしてのレベルも、われわれが求める上でのスタンダードというものをさらに上げることができたシーズンだった。それが終盤にかけて(の結果につながった)というのはあると思います。もちろん、いろいろな見方があると思います。

ほかのチームの戦い方、メンバー構成、さまざまな観点から論じられる部分がたくさんあると思うのですが、われわれは本当にたくさん経験を重ねる中で、いけそうだなという時期や難しい時期、どっちに流されるんだろうというような時期も経験しました。

そういった時ももがき苦しむようなことよりも、まずは自分たちの見据える方向をしっかりとみんなで同じ方向を向く。逆流に流されないように耐える時期というのを持つ。そういった紆余曲折を経験する中で、少しずつ、少しずつ経験値とともにスタンダードを高めてきたかなと思います」

34試合を終え、11勝11敗12分で10位。最終節までは9戦負けなし、4連続無失点。

松橋監督の言葉が示すように、チームのスタンダードを確実に高めてきた今年のアルビレックス新潟。

 

今季、新潟に復帰した、新井直人選手はこう語る。

「後半戦に入って本当に負けなくなった。でも、欲を言えば、これがもっと上位の順位で終われたら面白かったなと。取りこぼしなどもあったから諸々悔いは残っていますが、チームとして自信を持ってプレーすることができた。それは日ごろからの取り組みやみんながJ1で自信を持ってやってきた結果だと思います。

もう少し時間を空けてからしっかりと振り返りたいとは思いますが、今率直に思うのは、4連続無失点はそんなに簡単なことではないと思うので評価していいのかなと。チーム力という部分で新潟はほかのチームにない強みを持っているというのをあらためて感じました。その上で、個を磨かないといけないということも分かった中で1年間戦ってきた。

いろいろな波はありましたが、みんながそこ(チームの強みと個を磨く必要性)にフォーカスしたからこそ、すごく手応えを感じられたシーズンとなった。自分自身としてはゴールなど結果を示すことで、間違いなく成長していると思えた。来シーズンはさらに高みを目指してやりたいと思っています」

 

シーズン通して、ピッチの中盤で汗をかき続けた、高宇洋選手はこう語る。

「今日のセレッソ戦、前節のマリノス戦の2試合は、本当に今年の自分たちのスタイル、積み上げてきたもの、成長というものが詰まった2試合だったと思います。見ている人も、やっている自分たちも本当に充実感のあるゲームで、とにかく疲れたけれど、楽しくサッカーができたなと思います。

シーズンの後半戦、自分の中では守備がはまったという感覚があります。コジ(小島亨介)が最後に止めてくれるというのはありますが、失点数も減りました。コンパクトさがありますし、前線からのプレスのタイミングの良さは確実に良くなった。トレーニングの中から、センターバックやサイドバックの選手とのコミュニケーションを取っていたことがこの結果の要因として大きいと思っています。ただ引き分けの数が多かったので勝ち切らないともっと上にいけない。いかに仕留められるか、勝負強さが必要です」

 

今季は日本代表にも選ばれたチームの守護神・小島亨介選手はこう語る。

「J1での1年を終えて、攻守においてチームに貢献しないと勝利には近づかないということを感じました。最後まで止め切るところ、ビルドアップ時の自分のプレーの質がチームに与える影響が大きいと思いました。チームのプラスになるような働きということを心がけて今季はやってきました。公私にわたってうまくいったこともあれば、難しい状況もありました。それら全部を踏まえて成長につながる、充実したシーズンでした」

 

センターバックにコンバートされ、今季、確実な成長を遂げた渡邉泰基選手はこう語る。

「チャンスをリキさん(松橋力蔵監督)が与えてくれたことがすべて。僕がどうこうってよりは、そこ(センターバック)で使ってくれたリキさんに感謝したいです。僕は目の前のチャンスに必死にしがみついた感じでした。ビッグスワンは僕が小さいころ、サッカー選手を目指した原点の場所。その場に立っていることの責任感というのは、試合に出るみとして絶対に持たないといけないと思い、いつも試合に臨んでいます。

優勝という結果にはつながりませんでしたが、(このチームは)より高いところを目指している選手ばかりなので、来シーズン、タイトルを狙っていくような、そんなチームになってきた感覚を僕は思っています。いろいろなタイトルがありますが、とにかく勝負事にこだわってやっていくような年に来年はしたいと思っています」

 

大雨の中で行われた最終節を終えた選手たちの顔は、どこか晴れ晴れしていた。

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