【キシャメシ】燕三条背脂ラーメンの老舗「大むら」で「新潟5大ラーメン」について考えさせられる

燕市の「大むら」。県央のラーメン好きには「大むら派」が確実に存在する

 

「新潟はラーメンどころ」この定理をゴリ推しするために考えられた(と記者は思っている)「新潟5大ラーメン」なのだが、記者はずーっとこれに懐疑的な立場を取らせていただいている。これによりラーメン業界が盛り上がることはもちろん大歓迎だし、「新潟ってラーメン美味いよな」と県外の人に思ってもらえるのは嬉しい。

「背脂か、背脂以外か。」・・・お、おう

5大ラーメンの中身を見てみると、「新潟市淡麗あっさりラーメン」「濃厚味噌ラーメン(割スープ付き)」「燕三条背脂ラーメン」「長岡生姜醤油ラーメン」「三条カレーラーメン」というものだ。それぞれ代表的な店もある。でも、よくよく精査して見返していただきたい。そもそも本当に「新潟オリジン」だと他県に誇れるのは、燕三条の背脂ラーメンと長岡生姜醤油ラーメンだけではないのかね(偏屈じじい顔で)。他の3種は、もともとあったスタイルの派生に過ぎないのではないか。

ランチセットはかなりお得な気がする

そんなことをつらつら考えながら、目の前にラーメンが届くのを待っている。

ここは燕市、背脂系ラーメンの老舗「大むら」に来ている。約32年前、記者はこの大むら(当時はたしか大むら食堂という店名だったような)で燕三条系背脂ラーメンに出会った。まるで雪原を思わせるような真っ白に降り積もる背脂、極太の麺。なのにいったん食せば意外にも魚介系のすっきりスープ。その異形のラーメンは、記者に忘れえぬインパクトを与えた。「なんなんだ。これ、ラーメンなのか?」。びっしりと丼を覆った背脂が、熱と旨味をしっかりと閉じ込め、さらにまろやかさまでを付加している。

中華(大油)(税込840円)

遠きに日の思い出をしみじみ反芻しているうちに着丼。いやあ久々だな、大むらの中華(大油)。こんなラーメン、全国どこに行っても見当たらない。しかも、ものづくりの街ならではのストーリーが、背景にある。県央の人はもっと誇っても良い、このラーメンを。

世のダイエット愛好者たちがひっくり返りそうな、この白さ。決して豚足の接写ではない

びっしりと覆った背脂と一緒にレンゲでスープを救いゴクリ。ダイエット愛好者が見たら卒倒しそうなビジュアルだが、これが驚くほど味のバランスが良い。まろやかでキレもあって、そして熱い。極太麺は、インパクトあるスープをしっかり受け止める。旨味が食べ終わりまで持続する。

この極太麺!これが良い

記者は2023年1月、長年の喫煙生活に終止符を打った。それまでどうしてもやめられなかったが、禁煙しはじめたら意外とあっさりだった。ただね、燕三条のラーメンを完食した後は妙に恋しくなる。食後の一服が格別、ツバサンのラーメンにはそんな記憶がある。・・・いや、吸わんけど。

(編集部I)

 

【大むら】

燕市小高810-4

営業時間 11時~15時 17時~20時

定休日 水曜日

<グーグルマップより>

 

【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。

 

【前回のキシャメシ】

煮干しを極めた濃厚な一杯、「中華そば 石黒」(新潟市中央区)(12月15日)

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