【独占取材】国内屈指の音楽プロデューサー・松浦晃久氏の自宅に潜入 村上春樹、落合博満の本も(再掲載)

自宅2階にある特設スタジオでくつろぐ松浦晃久氏

掲載日 2023年3月14日

来ていただいた、というべきだろうか。JUJU、平井堅、絢香、中島美嘉、ケミストリー、リトルグリーモンスターなど国内トップレベルの実力派アーティストたちのプロデュースを手掛ける音楽プロデューサーがなんと新潟市にいる。2022年4月に東京から新潟市に移住した松浦晃久氏だ。今回、特別に松浦氏の自宅に伺い、インタビューを実施した。

まず、ご自宅に上がると、リビングには本棚があり、村上春樹の単行本がまず目に付く。「村上春樹がデビューしたころちょうど僕は学生で、ど真ん中の世代。文学が好き」と笑う松浦氏。特に、村上春樹の長編「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が好きだという。谷崎潤一郎賞をとった村上春樹が中年のころの作品で、ファンの間でもいまだに村上春樹一番の名作と言われているほどである。元プロ野球選手で、元監督の落合博満の打撃論の本もあった。松浦氏は「音楽の天才」だと思うが、やはり天才は天才を好むのか。村上春樹、落合博満ともに天才と称される人物である。

また、松浦氏は我々にコーヒーを淹れてくれたが、そのこだわりがすごい。コーヒー豆を購入し、ミルで挽いて、ハンドドリップで淹れていただいた。浅煎りですっきりした味わいだった。

コーヒーをハンドドリップで淹れる松浦氏

自宅の2階には6畳の自宅特設スタジオがある。アンプなどの機材がところ狭しと並ぶ部屋には、真ん中に電子ピアノの上にパソコンのモニターがあり、ここでパソコンに打ち込むのだという。これがまさに現代の音楽の作り方である、デスクトップミュージックである。この技術が進んだことも新潟移住のひとつであると松浦氏はいう。

松浦氏に最近の気になることを質問してみた。日本中で話題のチャットGPTである。チャットGPTでは論文、小説などが作成でき、ほかのAIアプリでは、イラスト、作曲もできるという。果たして、AIはヒット曲を作曲できてしまうのか否か。

松浦氏は記者に問いに対し、「模範解答的なものはできるかもしれないが、人間の経験とか知識とか個性とか、ファジーな感じはAIは作れないんだろうと思っているわけですよ。僕がコーヒーを好きなのは、僕の音楽にきっとリンクしているんです。好きな作家とか。それが全部出てくるわけでね」と答えた。

さらに、「アナログの価値というか、手作りの価値が逆に上がってくる。例えば、コンビニの弁当よりも手作りの方が価値があるじゃないですか。それと似ていますよ」と語る。

やはり、現段階では人間に軍配が上がるということか。

また、松浦氏が手掛ける4月15日、16日に新潟市のりゅーとぴあなどで開催される伝統文化の祭典「ART MIX JAPAN 2023」(アートミックスジャパン実行委員会主催)はが4年ぶりにフル開催される。

このイベントは、日本を代表するアーティストが新潟に一堂に集う2日間。1公演45分で解説付の、20を超える舞台公演や多彩な関連企画を、普段伝統芸術に馴染みのない人もハシゴしながら楽しめるイベントで、ファンも多く東京から来る人も多い。

松浦氏は「ちょうど、りゅーとぴあの桜が綺麗な時期だと思う。和菓子屋さんが出たりもするので、桜を見て、お団子食べて、落語を見て笑って帰るみたいな感じで来てもらえるといいです。チケットも残り少なくなっています」と話していた。

ところで、自宅にはかわいい猫が1匹飼われていた。記者は猫を飼っておらず、慣れていないのだが、インタビュー中もよくなついてきた。そういえば、村上春樹も大の猫好きで有名だ。芥川賞作家の保坂和志も猫好きだし、意外とクリエーターには猫好きが多いのかもしれない。

以前の弊紙インタビューで、新潟でクリエーターを目指す人との交流などをしたいと語っていた松浦氏。次世代の日本を担うクリエーターが新潟から出てほしい。そんなことを思いながら帰路に着いた。今回は随所に「一流の流儀」を見た取材だった。

自宅にある平井堅の受賞盾(左)

JUJU(左)とケミストリー(右)の受賞盾

(文・撮影 梅川康輝)

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