【独自】「自衛隊」ってどんなところ? 小林雄一広報官から聞いてみた!(再掲載)
掲載日 2023年11月30日
日本の平和と独立を守り、国家の防衛や公共の秩序の維持などを主な任務とし、日本の平和と独立を守るための組織、それが自衛隊である。身近なところでは、災害時における救助活動など、国民の生活と命を守っている。
新潟県長岡市の地方合同庁舎にある自衛隊新潟地方協力本部長岡出張所では、現在7人の自衛官が、活動の広報や、求人・採用活動にあたっている。所属の小林雄一広報官(40歳)から、自衛隊組織について話を伺った。
新潟県長岡市出身の小林広報官が自衛隊に入隊したのは20歳の頃。当初は、大学受験を目指していたが、希望した大学に入れず、思い切って入隊してみたという。最初は陸上自衛官として新発田の部隊に配属され、新隊員教育を受ける。
そこでは、敬礼・基本動作などの自衛官としての基本的な動作や必要な知識を得るための勉強などを行う。当初は、大学の再受験を考えていた小林広報官だったが、自衛隊で生活するうちに陸上自衛官を続けようという考えに変わってきたという。
様々な部署を経て、3年前に地元長岡に戻ってきた。現在は、広報官として主に、自衛官などの募集業務や市町村と部隊と連絡調整を行っている。
小林広報官によれば、自衛隊入隊前には「自衛官として、体力が必要」だと思っていた。しかしながら入隊してみると、そのイメージは一変した。入隊後、無理なく、自然に自衛官として必要な体力が付くように教育される。
体力のある人しか入隊ができないと思っていたが、そのような心配は必要なかった。自分自身も浪人して体力がある方ではなかったが、今では自衛官として十分な体力を備えて勤務ができている。体力に関する教育は、日々の体操やランニング、筋力トレーニングなどであり、レベルに応じてグループ単位で行う。レクリエーションを兼ねて球技などを織り交ぜるため意外に楽しい。
年に1度の体力検定で自身の体力が付くのが目に見えて感じられる。自分自身の成長が肌で感じられる絶好の機会であるとのこと。自衛隊では身に付けた体力を最大限に活用する仕事もあるし、机に座ってPCを活用するような仕事もあるので、教育で身に付けた体力を維持しさえすれば、自衛官として勤務できるのも魅力のひとつ。
現在は広報官であり、「職業としての自衛官の魅力」をこれから職業を選択する方々にどのように伝えていくかが最大の課題とのこと。
一般的には、国防や災害救助に従事しているイメージが強い自衛隊だが、その内部は複雑化しており、部署に応じて、様々な任務に従事しているようである。事務仕事や車両整備、音楽、パティシエのような仕事もある。
「自衛隊は、自己完結組織。他の組織にはない多種多様な仕事があり、自衛隊以外の援助がなくても活動ができる」と小林広報官はいう。最近では、新領域のものとして、宇宙に関するものやサイバー、電磁波領域に関する分野の仕事もある。ありとあらゆる分野の最前線で能力を発揮できるものがあるようだ。
しかも国家公務員として給料や賞与、週休二日制、各種休暇、フレックス制度などのほかに退職時は退職金も支払われるなど、福利厚生もしっかりしている。自衛官として数年間勤務し技能を身に付けたのち、退職して一般企業に再就職したり、起業したりするなどといったキャリアも開けてくる。
近年では、女性自衛官の割合も増えてきた。2023年の新潟県内における志願者のうち、2~3割を女性が占める。2023年3月末時点で、全国の女性自衛官の数は19,866人、全自衛官の約8.7%を占めるという。
かつては、隊内でも、女性がつける職種に制約があったというが、それも時代とともに取り払われてきた。2009年には女性では初めての大型艦の艦長も輩出しているし、戦闘機のパイロットや各種指揮官にも就いている。男女の差別はない。
また、自衛隊の評価制度は、完全に能力評価であるため、勤続年数や性別による昇給の差はない。そのようなところも、働く上での魅力の一つである。「自衛隊は、人を守るというやるがいが感じられる職業」と小林広報官は語った。「自衛隊は、人を助ける仕事、人に感謝されて“ありがとう”といわれる仕事」と小林広報官はいう。「自分自身の仕事にやりがいが感じられる職業を選びたいという人の入隊を、心から待ち望んでいる」とした。
中越地域には、自衛隊の大きな部隊がないこともあり、「今後は、自衛隊の部隊を見学できるイベントを計画したり、各市町村と協力しながら地域のイベントに積極的に参加したり、自衛隊の活動や存在がもっと身近になるようにしたい」と語った。
(記事・撮影 湯本泰隆)