【糖尿病への偏見をなくしたい】本間太希さん「インスリンを注射しながら自転車日本一周」の挑戦、地元新潟市で感動のゴール(再掲載)
掲載日 2024年11月4日
「インスリンを注射しながら自転車日本一周」に挑戦していた新潟市の本間太希(たいき)さん(26歳)が11月3日、地元新潟市に到着した。各地から駆け付けた応援者に迎えられて、約5ヶ月間の挑戦の旅を完遂した。
本間さんは2022年に自己免疫疾患などが原因で発症する「1型糖尿病」を突然発症し、一生治らないと言われる病気と向き合うこととなった。糖尿病には身体的苦痛だけでなく、糖尿病への偏見がある現状や、それに苦しむ患者が全国に多くいることを知った本間さんは、YouTubeやSNSで自身の病状や想いを発信する活動を開始した。
「糖尿病の偏見をなくしたい」という目的で、全国の糖尿病患者と交流しながら自転車で巡る旅への挑戦を決意した本間さんは6月1日に新潟市を出発。156日間で約400人の患者と交流を行った。
毎日の4回以上行うインスリン注射と健康管理を行いながらの自転車の旅というだけでも大変な上に、記録的な猛暑だった今年の夏。旅は困難の連続だったという。
本間さんは、「気温37度の日が続いていてずっと頭痛が続いていた。それでも次の目的地での交流会で待っている人たちがいた。時間との闘いもあって本当にきつかった」と振り返った。
札幌の小学生との再会
札幌での交流会に1人の小学生が参加した。本間さんと同じ「1型糖尿病」を今年発症した田中景(ひろ)くん小学5年生。
病気の発症により心身ともに苦しみ、学校へ行く事ができない状況となった田中くん。しかしYouTubeで本間さんの存在を知り、その発信に勇気づけられた田中くんは本間さんに会いたいと交流会に参加した。同じ病気を持つ者同士で語り合った。
そんな田中くんはこの日、本間さんの新潟でのゴールに合わせて、両親とともに札幌から新潟に駆け付けた。
「交流会のとき、太希くんから『俺たちは注射打ってんだから、十分だよ』と言ってもらったことがとても嬉しかった。同じ仲間に会えて励みになりました」と話す田中くん。
ゴールした本間さんと再会を果たし、2人は笑顔で会話を交わしていた。
「まだまだ孤独を感じている患者さんはいる」
有志たちが用意したバルーンのゴールゲートをくぐった本間さんは、達成感に満ちた表情を見せた。
本間さんは、「感無量ですね。新潟に入って、地元を感じた瞬間に実感が湧いてきた。(迎え入れられて)感動しています。新潟以外から来てくれている人もいて、全国を回ってきたんだなと思いました」と話した。
続けて、「糖尿病は生活習慣関係なく発症している人がかなり多く、ただでさえ注射して生きていくだけでも大変なのに偏見で苦しんでいる人がたくさんいるという現状と、病気を持っていてもなんでもチャレンジできるんだという事を、行動で見せられればという旅だった。一言では言い表せないくらい、かなり充実した完成度の高い旅だったんじゃないかと思う」と笑顔を見せた。
これからの活動について本間さんは、「まだまだ孤独を感じている患者さんはたくさんいると思った。今までは患者同士をつなげてきたので、今度は患者と社会や企業とつなげて、持続可能なコミュニティの継続を行っていきたい」と話した。
本間さんは今後、講演会やコミュニティサイト運営などを行い、糖尿病患者に寄り添った活動を継続していくという。
(文・撮影 中林憲司)
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