【書店員が選ぶ】今月のおすすめ本(2024年1月 )—— 提供・ジュンク堂書店新潟店

ジュンク堂書店新潟店(新潟市中央区)の書店員が選ぶ「今月のおすすめ本」。書店員の眼鏡に映った「今読んで欲しい本」を、書店員の生の声でお届けします。

今月はジュンク堂書店新潟店コミック担当の丸山静香さんからのおすすめ本を3冊ご紹介します。

書店員が選ぶ「今月のおすすめ本」2024年1月(提供 ジュンク堂書店新潟店)

年明けから大きな災害・事故が続き、今年はいったいどうなってしまうのか。誰もが不安な2024年がスタートしました。

それでも生活は続きます。この生活の積み重ねがやがて「歴史」と言われるようになるのかもしれません。

歴史がお好きな方は歴史小説や歴史書になじみがあるかとおもいます。逆に苦手な方は、学生時代のテスト勉強や暗記などの苦い思い出とともに、歴史ものから遠ざかっている方もいらっしゃるかとおもいます。

そんな方にぜひ紹介したい注目歴史コミックが近頃まとまってでてきました。

 

天幕のジャードゥーガル(1)(秋田書店)トマトスープ 税込660円

天幕のジャードゥーガル(1)(秋田書店)トマトスープ 税込660円

13世紀、主人公・ファーティマは当時世界最高レベルと言われたイランで奴隷として生活していました。

しかし、突如外敵の襲撃を受け、史上最大の帝国・モンゴル帝国の捕虜となってしまいます。後宮に女官として仕えることになったファーティマは、知識と知恵をつかい帝国に復讐することを誓います。

活躍するのは主人公はじめ女性が多く、交錯する思惑や悲しみが彼女たちを動かしていきます。

既存の歴史ものには少なかった舞台・視点・人物像で、話そのものとともに当時の風俗も注目できます。

著者のトマトスープ氏は「ダンピアのおいしい冒険」(イースト・プレス刊)でも実力を発揮する、歴史ものに定評のある作家です。

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神聖ローマ帝国三十年戦争(1)(ワン・パブリッシング)宮下英樹 税込770円

神聖ローマ帝国三十年戦争(1)(ワン・パブリッシング)宮下英樹 税込770円

「センゴク」で有名なレジェンド作家・宮下英樹が描く、ヨーロッパの戦国時代です。

1618年神聖ローマ帝国下でおこる宗教戦争、ハプスブルクと反ハプスブルクの対立・思惑。やがて30年もつづく戦争へと発展していく。

セリフのカッコよさ、クセありそうな貴族たちや張り巡らされるおもわく。この選択でいいのか、裏をかかれるのではと勘繰る緊張感。重厚感ある王道の歴史ものです。

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アナトミア 解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている(秋田書店)高城玲  税込693円

アナトミア 解剖してわかったことだが、人間は必ず死ぬようにできている(秋田書店)高城玲  税込693円

この作品、出版社から届いた見本冊子を読み始めてすぐ、医療行為のシーンで閉じました。

当時の医療は今から見たら目を覆うようなことばかりで、とっても痛そうですし、患者の痛さと恐怖がすごく伝わってきたのです。

ルネサンス期の15世紀末ミラノ公国を舞台に、人体解剖に魅入られた男たちの物語。本当の人間はどうなっているのか、本物の筋肉は?内臓は?心臓は?

理髪外科医の主人公は、レオナルド・ダ・ヴィンチに才能を認められ、解剖の道に進むことになります。

知りたい突き詰めたい純粋な気持ちと友情、そして医療をよりよくしたいと願う主人公はこの後どうなってしまうのか。

歴史ものの王道は日本史。戦国時代・江戸時代、幕末がありますが今回はあえて世界史に絞ってみました。

「カタカナの名前がちょっと覚えられない」という方も、そこはマンガですから気にせずに絵でなんとなく認識して、年号も王朝の名前も暗記は不要。テストにはでませんから。気楽に寝転んで読んでいただくといいと思います。

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