【キシャメシ】雪の奥胎内で味わう至福の江戸前そば、「そば処 みゆき庵」の「ここで出会えた」感
2024年初の「そば活」である。要はそばを食べに行くだけなのだが。
そば好きの習性から、美味いそばがあると聞けば、東に西に、少々距離があっても足を延ばす。
特に記者の場合、ちゃきちゃきの江戸前そばが好きなので、新潟にいるとなかなかしっくりくる味の店が少ないのこともある。
新潟にいると「ふのり」など海藻のつなぎを使ったそばを出す店がほとんど。これはこれで美味いのだが、やはり本格派の江戸前そばが恋しくなる。
訪ねたのは、県北・胎内市の市街地から山手に20分ほど入る、奥胎内のリゾートエリア。リゾート宿泊施設「ロイヤル胎内パークホテル」が建つ敷地内「そば処 みゆき庵」。
胎内産の地粉を石臼挽きした手打ちそばながら、洗練された江戸前をいただける名店。創業40数年は地元にも支持が厚いが、遠方から訪れるファンも多い。
職人の富樫さんは、都内神保町の名店で修業した、そば打ち歴50年のベテラン。新潟にいながら、そんな珠玉の腕前を味わえるのはそば好きとして至福極まれり。しかも奥胎内のそばは収穫が遅く、令和5年も12月の中ごろだというから、まさに新そばの時期といえる。
天ざるそば(税込1,500円)を注文。ここはそば打ちの様子をガラス越しに見ることができるのが良い。この光景、ずっと見ていられる。美味いそばの鉄則「三たて(挽きたて、打ちたて、茹でたて)」を大事にしているのがわかる。
ややあって、着そば。きれいなそばだ。奥胎内の地粉(しかも新そば)、清らな水、職人の確かな腕。美味いそばの条件がそろった賜物。
まずはつゆをつけずにそばを一本たぐってすする。おお、さすがに石臼挽き、香りしっかり、のど越し極上。しっかりとピンの立ったそばだ。いわゆる田舎そばは挽きぐるみを使うため、そばの味は濃いが雑味も残す。こちらのそばは実に洗練されている中で、香りも味も濃い。
次はつゆをつけて「ずずっ」と。しっかりキレのある「からさ」のつゆは、まさに江戸前。そばのポテンシャルを存分に引き出してくる。新潟のそばに慣れていると「しょっぱい」と感じる人もいるかもしれないが、さにあらず、新潟のそばつゆが甘いのだ。
天ぷらも素晴らしい。ゴマ油の香ばしさがしっかりあって、素材の良さを引き出している。山菜やきのこなど、季節ごとに旬の山の幸を使った天ぷらやタネものも提供しているので、こちらを楽しみに来る客も多い。
堪能させていただいた。雪山の素晴らしいロケーションの中、ここまでの江戸前そばに出会えた。
つくづく、来てみるものだ。
(編集部I)
【そば処 みゆき庵】
新潟県胎内市夏井1191番地3(ロイヤル胎内パークホテル敷地内)
営業時間 11時~15時30分(ラストオーダー)
<グーグルマップより>
【キシャメシ】は、にいがた経済新聞編集部のメンバーが、日々の取材活動の合間にいただく昼ご飯を日替わりで、真正面から他意を入れず、何モノにもとらわれず、お仕着せのグルメリポートに背を向け綴った、キシャの日常モノローグ。さて明日の担当キシャはどこで何を食べるのか、お楽しみに。