新潟県糸魚川市の高齢者福祉施設で黄色ブドウ球菌による食中毒が発生
新潟県によると、5月18日午後5時頃、糸魚川保健所管内の高齢者福祉施設から糸魚川保健所へ、同施設利用者119人中9人がおう吐、下痢症状を呈しており、うち5人が医療機関を受診した旨の連絡があった。
糸魚川保健所が調査した結果、17日に菓子製造施設「四ッ角ベーカリー」が製造し、18日に同福祉施設に納品した菓子パン(クリームとカステラを挟んだパン)を食べた同福祉施設の利用者および職員の計110人のうち利用者24人と職員1人の25人(40〜70歳代以上の男性8人と50〜70歳代以上の女性17人)が18日午後3時からおう吐、下痢、腹痛などの症状を呈し、このうち8人の便から黄色ブドウ球菌が検出された。
患者に共通する食事が同福祉施設で提供された食事に限られること、患者便および同福祉施設で保管していた四ッ角ベーカリーが納品した菓子パンから黄色ブドウ球菌が検出されたこと、医師から食中毒の届出があったことから、四ッ角ベーカリーが製造したパンを原因とする食中毒と断定した。
なお、患者は全員快方に向かっている。
一方、糸魚川保健所は施設に対して営業停止処分(24日から26日の3日間)にしたほか、調理施設の清掃消毒と設備・器具の洗浄消毒を指示した。また調理従事者に対して衛生教育を実施する予定。
新潟県によると、今年の県内食中毒発生状況は5月24日現在で発生件数4件(前年同期は7件)、患者数58件(同11人)となっている。
黄色ブドウ球菌は、人の鼻、咽頭、腸管、化膿傷等にも分布しており、くしゃみや手指を介して食品を汚染することがあるほか、おにぎりや弁当などが原因食品となりやすいという。また食品中で増殖する際、食中毒を引き起こす毒素を産生するが、毒素は熱に強く、通常の調理では分解されない。
予防策としては、調理済み食品に触れる前には手指を洗浄消毒したり、手指に化膿傷があるときは直接食品に触れないことという。また必要に応じて使い捨て手袋を使用したり調理済み食品を室温に長時間放置しないことも予防になるそうだ。