【輝ける新潟の企業】世界の鉄道インフラを支える北陸重機工業(新潟市東区)、堀上幸二社長に訊く

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初回掲載:2024年2月1日

 

 

北陸重機工業株式会社(新潟市東区)の堀上幸二社長

新潟市東区に、誇らしい実績を積み重ね、今もなお世界規模でプロダクトを送り続けている重機メーカーがある。

北陸重機工業株式会社。従業員60人規模の会社ながら、軌道特殊車両(鉄道の作業現場ではたらく車両)では国内でも指折りのメーカー、特に機関車の部門では圧倒的なシェアを獲得。顧客の要望に細部まで応えるカスタマーインの姿勢は、設計、部品製造、製缶から組み立てまでの一貫生産システムが実現している。

1965年創業まもなく、70年代には海外展開にも着手し、政府間のODA事業にも参画。これまで800台以上の車両を輸出。今日も世界のあらゆる地域で、新潟産の技術が作り出した車両が活躍していることにさらなる光をあてたい。

北陸重機工業の堀上幸二社長に、話をうかがった。

 

「はたらく鉄道車両」に活かされる先端技術

― 北陸重機工業は2018年にプライム市場の極東開発工業のグループ企業に加入し、堀上社長ももともとは極東開発工業の社員だと伺っています。極東サイドがグループパートナーとして北陸重機工業にアプローチされた背景には、どういう事情があったのでしょう

堀上社長(以下略) 極東開発工業が展開している事業の中で約85%を占めるのが、ダンプトラックやミキサー車など特装車の部門なのですが、この分野はご存じの通り公共事業の多寡で注文量、出荷量に波があります。

事業領域、セグメント幅をもう少し広げたいと考えていた中で、北越重機工業が持っている技術やノウハウは、同じ特殊車両という意味で親和性があり、シナジーも産み出せると考えた結果です。最後は、ご縁ですね。

 

― 軌道特殊車両の市場自体はそれほど多くない企業で構成されていますね

この業界はおおむね5社ほどですが、そのうち3社は新潟にあります。かつて国鉄時代に、新潟支社が雪対策や保線の関連で技術を持ち合わせており、専門の技術者がいたということがこうした特殊性の発端なのでしょう。

軌道特殊車両のマーケット全体としては、これ以上拡大しない、もしくは少なからずシュリンクしていく観測です。一方で大手の重機工メーカーがこの業界から撤退しているので、プレイヤー自体は減っている。鉄道インフラは整備した分だけ保守しなければならないことを考えると、需要は安定的に存在すると考えられます。

それを見越して2021年には工場を拡大しました。大きくなりましたが、現状では社員が足りない。シェア拡大のチャンスなので、社員を増やして生産能力をあげたい、というのが目下の希望です。

設計から製缶、塗装、組み立てまでの一貫生産は、顧客の要望に細かなレベルで対応するため

― 設計から製缶、塗装、組み立てまですべて一貫生産でこなし、車体台枠や運転室・機関室といった大物部品まで内製化できているメーカーは、この分野ではオンリーワンなのではありませんか?

同業他社がどこまで内製化しているのか、細かな事情はわからないのですが、確かにエンジン、トランスミッションなど基幹部品以外を自社で賄っている車両メーカーは珍しいかもしれません。

これによる1番の強みは、コスト面よりも、細かいところまでお客様の要望に合わせて、お客様に合った1台をつくり出せる点です。洋服で言えばレディメイドとオーダーメイドの違いです。

 

― オンリーワンの技術はほかにもありますね

当社が先んじているといえば、2023年3~4月の間に、100%バッテリーで動く大型の機関車を納入したこと。化石燃料を使わないという、この分野では他社は実績がないので、当社が1歩先を行っているのは確かです。

 

ODA事業にも参画、世界の鉄道インフラを下支え

― 2020年には、両国政府間のODA事業の一環で、コンゴ民主共和国にディーゼル車を納入するなど、グローバルな規模で社会貢献の大きい企業という印象です

ODAはこれまでコンゴ、ベネズエラ、エジプトなど。当社は創業,まもない1970年代からインドネシアや台湾などに向け、都合で800台程度の輸出実績があります。

2020年には日本政府とコンゴ民主共和国政府間でのODAの一環で、72tディーゼル機関車を納入した

― 社員は海外出張の機会が多いのでは

中には「初めての海外がオマーンだった」という社員もいましたが、旅行などではなかなか行けない地域なので、それはそれで面白味があるでしょう。

納入先の国には、設計や営業だけでなく、組み立てのスタッフなど現業メンバーも行くことがあり、多い時には10人ほどで現地に赴くことも。1カ月くらい、現地で試運転やトレーニングというケースも多く、現業のスタッフは交代で行きます。営業スタッフは最初から最後まで行きっぱなしですね。

 

― 失礼かもしれませんが、地元の新潟でも、世界を舞台にこれほど業績を重ねている企業があることを知らない人が多い。知られないのは実にもったいない気がします

一般耐久消費財のメーカーではありませんし、私どもの製品が活躍するのは真夜中、皆さんが眠ってから動き出すので、一般の人は目にすることが少ないと思います。すぐ近所の会社の方にすら「何をつくっている会社ですか」と聞かれることがあります(笑)

創業1965年以来この地で、地元企業として操業を続け、常に「社会の公器としてありたい」という考えている企業ですので、教育機関や地域の方など工場見学なども積極的に受け入れています。

社会科見学を積極的に受け入れるなど、地域貢献の意識も高い会社

 

「社会インフラの構築」その誇りを胸に

― 堀上社長から見た、北陸重機工業の社風とは?

この規模の会社(社員60名)なので、異なる部門のセクショナリズムが低く、課題が見つかった時に社員一丸となって対処しようとする、そういうところは本当に良いと思っています。

大手メーカーの中には意外とこういう団結心が乏しいところが多い気がします。事業部や部門間でパワーバランスがあったり、問題が起きると「どっちの所掌だ」と押し付け合いになったり。

仲間意識が強く、なにか困ったことがあるとすぐに集まって問題解決に動く、それができる「お互いに顔の見える規模」であるのが好ましい。私は従業員ひとりひとりの誕生日をすべてメモしていますが、これが1,000人の会社ではなかなかそうは行きません。

 

― 社員の平均年齢は?

平均すると40歳と少しじゃないですか。実際には30代後半から40代前半のところが少し薄く、砂時計のような縊れたバランスになっているのが悩み。これはメーカーに共通している現象なのですがね。

 

― 給与や年間の休日など、社員の待遇面については?

給与は、まあ同じ年齢の同じようなキャリアの方で他社と比べて、決して低くはありません。待遇面も悪くないのですが、むしろ新潟から世界の地域に貢献しているという、そうしたやりがいを持てることが、当社の社員になる特権かと考えます。

モノづくりの醍醐味に触れられる職場、世界市場を舞台にするやりがい

― 中途採用の社員は、どういう業界から転じて来られる方が多いですか?

生産現場で言えば、溶接やアッセンブリーの経験者が比較的多いですね。設計部門だと、必ずしも鉄道車両の設計経験に限定していないので、機械設計をされていた方なら大丈夫です。

営業職はもう、やる気があって誠実な方なであればどんな職歴の方でも。

 

― どんなマインドを持った人に応募してほしいですか

「コミュニケーション能力が高い人」「自ら進んで行動する人」などよく言われますが、当社が求めるのは、時代の変化が早い中で、新しいことにチャレンジできる精神を持った方、時代の変化やお客様のニーズの変化に対しての柔軟な対応力です。

アンテナを常に高く張って、自分自身も変わっていけるような人が望ましいですね。

今後は西日本の営業進出や、伸びしろのあるモーターカー市場へのさらなる注力も視野に

― 今後のビジョンをお聞かせください

当社の製品で出荷が多いのは、重いものを運ぶ機関車と、主に保守の現場で働くモーターカーの2種類。このうち機関車は鉄道事業者だけでなく、製鉄所や製紙工場、セメント工場などの大規模工場構内輸送用にも出荷しており、国内シェアの7~8割方は獲得できていると思います。

一方でモーターカーは競合もそれなりにあるので、そこまで高いシェアを担っていません。まだまだ西日本に市場参入の余地を残しているので、営業を強化し業績につなげていきたい。

それにはもう少し知名度を獲得したいところ。昨年11月に幕張メッセで開かれた 「鉄道技術展」に出展したのですが、当社はそれまで大きな見本市・展示会にも出展したことがありませんでした。

鉄道事業者が多く来場され「こういう会社があったのか」と知られるだけでなく、商談にもつながりました。こうした場にも積極的に出ていきたいと考えています。

国内市場と外国市場の両輪で更なる成長を目指します。

 

【求人情報】
【中途採用募集】世界の鉄道インフラを支える モノづくり企業|北陸重機工業(新潟市東区)

 

【企業情報】
北陸重機工業株式会社(新潟市東区)

 

【関連サイト】
北陸重機工業株式会社

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