【女性活躍社会への新たなスキーム】人材派遣事業のDearStaff(新潟市中央区)含む2社の全株式を取得、会社員からM&Aで起業した斉藤璃奈氏(37歳)

M&A調印式の様子

イベント事業などを手がける株式会社エヌエスアイ(新潟市東区)に勤務している斉藤璃奈氏はこのほど、ホールディングス会社「DearStaffホールディングス株式会社」を設立し、深見啓輔氏が代表を務める人材派遣業の株式会社DearStaff(新潟市中央区)とイベント等企画運営業の株式会社ペイフォワード(同)をM&Aにより全株式を取得した。

これに伴い2月9日、新潟市中央区において、両者の調印式を執り行った。

M&Aにより新たに女性起業家となった斉藤璃奈氏(37歳)は、これまでエヌエスアイでイベント運営に関する業務を行っていた2児の母。

M&Aの話は2023年秋ころから斉藤氏にあり、イベント時のスタッフ確保に課題を感じていた事や、これまでの経験を活かしたいと考えたことから、株式取得(全株式、100%)による起業を決意した。斉藤氏が新会社の代表となり、株式を譲渡した深見氏は顧問として運営に関わっていく。

DearStaffホールディングス株式会社の斉藤璃奈代表取締役

株式会社DearStaff(新潟市中央区)とイベント等企画運営業の株式会社ペイフォワード(同)をM&Aにより株式譲渡した深見啓輔氏(DearStaffホールディングス株式会社顧問)

今回のM&A成立には、両者の希望がマッチしたことが背景にある。人材派遣業などの2社を売却した深見氏は、「ペイフォワードで18年、DearStaffで10年。創業当時は人材ビジネスがまだまだ知名度は低かったが、昨今の人材不足の状況を受けて、人材ビジネスは経済にとって無くてはならない存在になっている。そのような中で、この事業をこの先50年、100年と永く続けていくには、経営をより強化していく必要があると感じていた。今回のM&Aを受けて、心強く感じている」と話した。

また、事業を引き継ぐ斉藤氏に対して、深見氏は、「女性ならではのきめ細かな対応が良いサービスに繋がっていくと考えている」と期待した。

一方、斉藤氏は、エヌエスアイが手掛けるイベント事業などに、人材確保の面で連携していくことで課題を解決し、事業を拡大していく狙いがある。

斉藤氏は、「まだまだ未熟で分からないことだらけだが、皆さんの協力をいただきながら、もっともっと大きい会社をつくり上げていきたい」と話した。なお、株式取得にあたっては、銀行から融資を受けて実施。これまで経営経験がない斉藤氏だが、「やるしかない」と意気込む。

なお、今回成立したM&Aを仲介したのは、みらい国際法務会計グループ(本社・新潟県三条市)の平野洋人代表。人材派遣業界のM&Aについて聞くと、人手不足の中でとても人気のある業種だという。今回のM&Aは、両者のニーズが合致して締結に至ったという。

また、今回のM&Aのポイントについて平野代表は、M&Aのスキームによって女性起業家が誕生した点を挙げる。

平野氏は、「新潟県内の創業支援が弱いと言われているが、今回の形のM&Aを活用すれば、一つの創業支援のスキームとして活用できるのではないか。M&Aによってある程度の基盤がある企業を引き継げば、より安定した経営が可能になってくる。今回のM&Aは、新潟県の起業・創業に一石を投じる一つのスキームになったと思う」と語った。

M&Aの「成約証明書」に調印した深見啓輔氏(左)と、斉藤璃奈氏(右)

みらい国際法務会計グループ(本社・新潟県三条市)の平野洋人代表

 

【関連記事】
【M&Aの実践と戦略】実例から学ぶM&Aのエッセンス|みらい法務会計グループ(2024年2月2日)

【継承と革新】企業が直面する事業承継の課題とチャンス(第1回)「中小企業の未来を築く」|行政書士法人みらい法務会計(2024年1月1日)

【わずか1か月で締結】えちごホールディングス(新潟県三条市)と下越(新潟県聖籠町)がM&Aを実現(2023年12月29日)

【ビズテイル#1】―リーダーの光と影―「積み上げたものがどんどん崩れていった・・・」人材派遣業DearStaffの深見啓輔(ふかみけいすけ)代表取締役(2023年10月6日)

こんな記事も

 

── にいがた経済新聞アプリ 配信中 ──

にいがた経済新聞は、気になった記事を登録できるお気に入り機能や、速報などの重要な記事を見逃さないプッシュ通知機能がついた専用アプリでもご覧いただけます。 読者の皆様により快適にご利用いただけるよう、今後も随時改善を行っていく予定です。

↓アプリのダウンロードは下のリンクから!↓