【ビズテイル#7】―リーダーの光と影― 「フルサットは新しいことができる場所でありたい」、北信越ラボ(新潟県上越市)平原匡代表取締役(後編)
前回はこちら→ 【前編】心臓を取り出す大手術で「1回死にました」
奇跡的な復帰
「リハビリを始めたころは手を挙げるだけでも勢いっぱい、再び歩けるようになるなんて夢にも思えない状況でした。と言いつつ、復帰を夢見て、少しずつではありますが、リハビリを続けました。そして、入院して半年以上たった2018年7月末に退院。そして今、おかげさまでオフィス仕事には復帰できておりまして、現在、会社の方は役員4人できりもりをしながら、毎日9時から18時半まで勤務しています。
疲れやすくはありますが、無理だけはしないように注意しながら、パートナーやスタッフに支えられてやっています。今でも起業する人には『頑張りすぎるのは注意。体に気を付けて』と言っています」
アフターコロナ
「2020年2月は新幹線開業の5周年イベントを3月に控えて準備をしていましたが、コロナ禍の入り口に重なり、中止。賑やかにできなかった。そこからがコロナの始まりですね。飲食店関係は大ピンチ。新幹線の乗客もいない、人が歩いていない、三密回避でステイホーム、飲食店存亡の危機でフルサットも危機でした。これをきっかけに恐竜時代の生物が寒波に襲われてどう生きるかと同じように、フルサットもとにかくどう生きるかを考えました。コロナ禍がいつ終わるかわからない中で、2020年の夏くらいに新潟県が起業・創業の民間スタートアップ拠点を募集しており、それに応募してフルサットが上越市エリアで認定頂きました。
もともとフルサットのテナントには起業した人が多いということを理解してくれて、そのような人たちの集積の場「商店街」という場所を認定してもらったわけです。世の中が不透明で不確実性の空気に覆われたことで、横の繋がりを強化して、共に育つ新しいコミュニティが必要と思いました。「何か新しいことを始めたい人」「モヤモヤをカタチに」など移住者同士、起業家予備軍同士でフルサットの場を利用して仲間作りをしてもらっています。クラフトビールのガンギブリューイングさんの上越妙高駅エリアへの出店をサポートし、フルサットテナントのラーメン風花さんもそうです」
次に見据える先
「本来、まちづくりではハード事業とソフト事業は分けた方が良いです。それがデベロッパーとしては常識。ビルディングなどハードを建てる人と、運営などソフト面を担当するマネージャーは分けた方が良い。しかし、フルサットは同時にそれを行いました。フルサットの場合、テナントはフルサットと契約したテナントであり、店舗のオーナーでもあり、フルサットを運営するパートナーでもあります。弊社はテナントの皆さんの日々の運営努力の積み重なりで成り立っているのです。そうやってコンテナ商店街として増殖してきたのです。
今後についてはもっといろんな人が濃淡あれどフルサットに参画(ジョイン)してくれると良いと思っています。Iターンはもちろんですが、若い世代や同世代ふくめて、次世代の故郷を思うUターンの人と仕事をしたいですね。人の交流の流れの中の『アクセスポイント』。それがフルサットの存在意義です。何か上越妙高駅周辺で事業をやりたいとかチャレンジをしたい人が集まり、新しいことができる場所でありたいです」
(文・撮影 梅川康輝)
【これまでのビズテイル】
#4 故郷で見た貧困と日本人技術者への憧れ、三条市立大学(新潟県三条市)アハメド シャハリアル学長(2023年11月21日)
#5 「もうお終いかも・・・」県外依存が仇となりコロナで窮地に、とき司法書士法人(新潟市東区)の川嵜一夫(かわさきかずお)代表 (2023年11月25日)
#6 【ビズテイル#6】―リーダーの光と影― 新しい大学をつくるために全国を飛び回った男、開志専門職大学(新潟市中央区)権瓶拓也事務局長 (2023年12月29日)