【俺らが20代30代のときって、こんなぶっとんだこと考えてたかな?】クリエイターを集めたビックなイベント「アートなHENTAI万博」が新潟県長岡市で開催 今後の長岡市の経済効果も期待できそう!
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会場には大学生のブースも
サブカルチャーやデジタルアートなど、クリエイターたちによる新しい形のイベント「アートなHENTAI万博」が2月10日、アオーレ長岡(新潟県長岡市)で開催された。
当日の会場には約30団体が参加し、1万人以上が来場した。来場者は、雪板体験や光のアート展示、コスプレランウェイや長岡造形大学の学生によるファッションショー等を楽しんでいる様子だった。
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雪板は子ども達に人気
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光のアートの展示も好評だった
〈遊びを極めたクリエイターの文化祭〉をコンセプトにしている同イベントは、様々なジャンルのアート・文化などを一堂に会することで、相互の発展や認知拡大につなげることを目的として開催されたアート体感総合イベント。『普通』ではない尖った表現や、気の遠くなるような創造を行うものを『HENTAI』と定義づけ、ジャンルや年齢に関係なく、それぞれの得意分野を活かし、準備から運営まで協力して行っている。第1回目の昨年よりさらに規模を拡大し、新しいことにも挑戦。特に今年は、リアルとデジタルを融合させ、メタバースの世界に巨大なイベント会場を登場させた。
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コスプレランウェイは、午前と午後に併せて2回、行われた
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イベントは、アオーレのほぼ全棟使って行われた
取材前は、年齢層が低めの来場者のイメージがあったが、実際の来場者の年齢層を見てみると、10代から50代と幅広い。現役の市議会議員なども来場し、その独特な雰囲気に驚きつつも、楽しんでいたようだ。
長岡市与板から来場した40代の女性は、中学生の子どもに誘われて、今回初めて参加したという。普段の自分になじみのないものばかりだったが、「楽しいイベントです。良い刺激になりました」と感想を述べた。
もちろん、楽しんだのは来場者だけではない。新潟市江南区からコスプレランウェイに参加した葵神威さん(45歳)も、「楽しいです」と一言、イベントの様子を語ってくれた。
普段はサラリーマンとして働きつつ、県内各地のイベントでコスプレイヤーとして参加している葵さんがコスプレを始めたのは10代後半。コスプレイヤーとしては27年のキャリアを持つ。
『ドラゴンボール』のセルや『ワンピース』の海軍大将など、同世代にはなじみのあるアニメキャラクターのコスプレ以外にも、『進撃の巨人』のエルヴィン団長など、比較的新しいアニメのコスプレなどもしているという。
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斎藤一のコスプレで牙突のポーズを決める葵神威さん
当日は、『るろうに剣心』でおなじみの斎藤一のコスプレで挑んだ。同世代からしたら興奮者である。普段は「あがり症」だという葵さんも、アニメキャラに扮しているうちは別人になれるようで、快く撮影にも応じてくれた。
長岡市内にある4つの大学の学生たちも、それぞれブース出展。写真展示とチェキの撮影で出展した長岡大学の4年生・佐藤里奈さん(22歳)と荒木しおりさん(22歳)も楽しみながら参加していたようである。「ずっと続いてほしいイベント」だと述べた。
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出展者として初めて参加した荒木しおりさん(左)と佐藤里菜さん(右)
イベントを主催した実行委員会のメンバーも多様で興味深い。若いクリエイターや学生たちはもちろん、山古志デジタル村民や学生起業家といった肩書を持つ面々が連なる。バックヤードでは30代を中心とした社会人が、会計業務や書類作成などをがっちりとサポート。まさに世代を超えた多様な姿がそこにある。
様々な観点や志向をもったメンバーのまとめ役が、小川卓総隊長(33歳)である。長岡青年会議所の理事も務め、長岡市倫理法人会の主催するモーニングセミナーでも講師として登壇した。長岡市における上下の世代から注目されている若きリーダーである。
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長岡市の若手リーダーの一人・小川卓総隊長。これからのさらなる活動に期待が寄せられている
小川総隊長によると今回、新潟県異業種交流センターをはじめとした多くの企業・団体から協力を得たという。「このイベントは、自分を表現するための文化祭。自己表現の場。協賛企業や多くの人々から支えてもらっている。大勢の人がこのイベントを盛り上げてくれている。そこがこのイベントの一番狂っているところ」とコメントした。また、隣にいた新潟県異業種交流センターの鷲尾達雄副理事長(57歳)は、「近年、長岡市内で開催されるイベントの多くが、手段が目的化していて、永遠のマンネリズムに陥っていると思っていたところに、彗星のように現れたのが小川卓君。小川君は、自らイベントを企画でき、さらにまわりを巻き込むことができる。両面をもっていて素晴らしい。応援したくなる魅力がある」と大絶賛である。
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小川総隊長の支援を決めた鷲尾達雄副理事長(左)
クリエイターのみならず、多くの地元企業も巻き込んだ同イベントは来年も開催する方針である。回を重ねるごとに、竜巻のように求心力が高まっていく同イベント。アートを通じて長岡市を元気にさせることができる可能性を、取材を通して感じた。
(文・写真 湯本泰隆)