【書店員が選ぶ】今月のおすすめ本(2024年2月)「さみしい夜にはペンを持て(ポプラ社)」など3冊—— 提供:ジュンク堂書店新潟店
ジュンク堂書店新潟店(新潟市中央区)の書店員が選ぶ「今月のおすすめ本」。書店員の眼鏡にかなった「今読んで欲しい本」を、書店員の生の声でお届けします。
今月は、ジュンク堂書店新潟店 社会科学書担当の加藤百合子さんからのおすすめ本を3冊ご紹介します。
立春も過ぎ、暦の上では春の始まり。まだ寒い日もありますが、今年の冬は暖冬傾向のようで、この文章を考えている間にも、春めいてきました。
春は進学や就職などで新しい生活を始める方が多い季節でもあります。そんな方に向けて、これからの自分に役立つような3冊をご紹介します。
中学生から大人まで読める本を選びました。親子や友達同士で読んで、感想を話し合ってもらえたら嬉しいです。
さみしい夜にはペンを持て(ポプラ社)古賀史健 絵:ならの
ぼくは、ぼくのままのぼくを、好きになりたかった。中学生のタコジローは、何をやってもうまくいかない自分のことが大嫌い。
ある日、不思議なヤドカリのおじさんの出会い、日記を書くことを通して新たな自分を見つけ出す。ノートとペンを持って、毎晩自分というダンジョンを冒険しよう。
そうすればきっと、そのままの自分を好きになれるはず。
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自分との向き合いかたを教えてくれる本。読んだ後、頭の中のモヤモヤが晴れて清々しい気持ちになりました。
自分の日記には未来の自分という読者がいる。そんな未来の自分のために日記を書いてみたくなります。
きみのお金は誰のため:ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」(東洋経済新報社)田内学
3つの謎を解いたとき、世界の見え方が変わった。
ある大雨の日、中学2年の優斗は、投資銀行勤務の七海と偶然知り合い、ある謎めいた屋敷を訪ねることになった。そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでいた。
優斗と七海は、ボスから3つのお金の謎を問いかけられる。その謎を解き明かすためにボスの屋敷へ通うことになり…
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普段、何気なくしている買い物は、お金を使う際、必ずその向こうに人がいて、その人たちが働いてくれているから買うことができる。何かを買うとき、その向こうで働いてる人のことを考えるようになりました。
お金が社会を支えているわけではなく、1人ひとりが誰かのために働いてくれているから、私たちの社会はなりたっている。
働くことは、お金を稼ぐことではなく、誰かの役にたつこと。お金を学ぶ第一歩として読んでほしい本です。
13歳から鍛える具体と抽象(東洋経済新報社)細谷功
「具体と抽象」って何だろう?
具体とは目に見えて触れたり、簡単にイメージできるようなことを指し、反対に抽象とは目に見えて触れたりできない、あいまいでイメージしにくい概念のようなもの。
考えるとは具体と抽象を行ったり来たりすること。
その意味と使い方を理解できているかどうかで、毎日の、そして人生のすべてにおける見え方が変わる。
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言葉だけ見ると何だか難しそうに感じますが、13歳から読めるように図やイラストが多く使われていて、かなりわかりやすく解説されています。直ぐには身につけられなくても、少しでも具体と抽象を意識しながら日常を送りたいですね。
具体と抽象を行き来するために抽象化や具体化を鍛えるためのツールとして、本は最適ということなので、みなさん、読書をしましょう。