【企業レポート】鈴木コーヒー(新潟市中央区)・佐藤俊輔社長、創業60周年を迎えた先に 「コーヒーの先にある感動」、感染症禍を経てパーパス経営へ<PR>
株式会社鈴木コーヒー(新潟市中央区)が2023年8月、創業から60年目を迎えた。同社の佐藤俊輔代表取締役社長は言う「節目を経て、次のステージへ立つために、すべてのステークホルダーへ向けたメッセージを設定した。『コーヒーの力で、人々の人生を感動で満たす』──コーヒーを売るんじゃない。コーヒーを通じて感動を届けることが、私たちの唯一の仕事だ」。
祖父の代で創業し、佐藤社長で3代目。外食産業などへのコーヒーの提供が主である一方、近年は直営店事業などにも力を入れるほか、新潟の特産性を打ち出した「雪室珈琲」は一般消費者にも認知度が高い同社。その人気を実現する体制と、「パーパス経営」を標榜するこれからの歩みについて、トップに聞いた。
目次
○ 「変化することが文化」の企業風土
○ 人にしかできないことの最大化
○ 感染症禍を経て
○ 「コーヒーの先にある感動」というパーパス
「変化することが文化」の企業風土
鈴木コーヒーの特徴は、変化と挑戦を恐れぬ企業風土だ。「変化することを文化にしているし、朝決めたことを夕方には実行しているようなスピード感でいる」と佐藤社長。同氏が『この企画をしたい』と提案した時、従業員たちの実現へ向けた設計力は高いという。
もちろん、このスピード感は「上から」だけではない。「例えば、入社3カ月の従業員が企画を持ってくる。絶対売れないだろうな、というとんでもない企画。でも、『NO』とは言わない。もしかしたら成功するかもしれないし、失敗してもそれは彼の経験になる。挑戦から得られるものは『成功』と『成長』しかない」(同)。
こうした鈴木コーヒーの在り方を端的に表している体制の一つが、「プロジェクト」だ。これは、部門を横断したチーム体制で、その中でのリーダーシップは役職や経験にとらわれない。取り組む内容は、新商品の企画から健康経営といった社内制度まで様々。そして、その個々の会議には必ず決裁権を持つ佐藤社長が参加する。従業員たちの小さな意見も拾い上げ、決まった時にはすぐに動き出せる仕組みだ。
人にしかできないことの最大化
スピードを実現するうえでの効率化は欠かせない。鈴木コーヒーには2,000件を超える取引先があるが、DXにより受発注はできる限り自動化(参考:新潟市「市内企業のDX事例」)。関わる従業員は2、3人と極めて少ない。また一方で、「残業には美学がない」と佐藤社長。本社は基本的に18時45分までに完全退勤するが、外食産業と関わる会社では異例の早さと言っていい。
「弊社のDXや効率化は、つまり人にしかできないことの最大化と定義している。できるだけ、楽しい企画ばかり考えていきたいでしょ」と佐藤社長は笑う。「『work–life balance』とよく言うけど、違う。生きるためには働かなきゃいけない。人生と仕事はイコール。要は『work as life』。だからこそ、仕事はなるべく楽しくしていきたい」(同)。
感染症禍を経て
2020年、新型コロナウイルス感染症禍の際にも取り掛かりは早かった。「感染症禍になった瞬間、従業員から何十というアイデアを募り、翌月には実行していった。失敗した取り組みも多かったが、新型コロナ禍が収束した今になって活きてきたものも多い」(佐藤社長)。2020年、飲食業界への向かい風により鈴木コーヒーも赤字を喫したが、翌2021年には黒字転換、以降は仕掛けの奏功に顧客が回帰したことが重なり、今期は感染症禍前比で117%の売上を記録する。
牽引した取り組みの一つは、スーパーなど小売関係への進出だ。鈴木コーヒーでは元々外食・業務用が主であり、展開にノウハウも少なかったことから、直営店や百貨店などを除いて一般消費者向けの販売はしてこなかった。しかし、感染症禍で外食の需要が激減する中、新たな販売チャネルを開拓。現在では県内大手のスーパーなどに出品するまでに至った。
また当時、感染症禍に大打撃を受けた古町芸妓や長岡花火とコラボ。売上の一部を寄附する商品を展開した。こうしたフットワークの軽さにも、同社のスピード感が光る。また、同じく感染症禍で窮地に立たされたエッセンシャルワーカーへは自社のコーヒーを贈呈した。こうした取り組みの中で、佐藤社長の中で意識変化があったという。
「コーヒーの先にある感動」というパーパス
「たった一杯のコーヒーで誰かの人生を変えられる。コーヒーにはそれだけの力がある。そう気がついた時、目指すべき道が鮮明になった」60周年で設定したメッセージにも通じる言葉を、佐藤社長は改めて口にする。「コーヒーそのものじゃない。コーヒーの先にある感動を目指す」。
鈴木コーヒーでは2023年7月、新潟市北区に社会福祉法人と協業した焙煎工場兼カフェを開業。障がいを持つ人々が正当な利益を得てながらやりがいを感じ、また交流できる空間を標榜する。さらに2024年5月には、長岡市に聴覚障がい者と協業したカフェを開業する予定だ。
佐藤社長は感染症禍の時期を振り返る「損得で考えていたら何もできなかった。自分たちに何ができるのかを考え積極攻勢をかけて、その結果生まれたビジネスもある。やはり、世のため人のためになるかどうか。そうしたことを考える会社は、どんな苦しくても返り咲ける」。
その意識を従業員とも共有する。だが、「パーパスに沿っていれば何をやってもいい」と従業員たちの背中を押す言葉は常に変わらない。自己実現できる環境だからこそ従業員は自発的に提案し、会社が常にアップデートされていく。今後、新たに定まったパーパスがこの好循環を加速させていくだろう。
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