新潟市議会議員 小柳聡(こやなぎさとし) 市政報告(令和3年9月)
新潟市では新型コロナウイルスのワクチン接種について、49歳以下の市民を対象に集団接種の予約を9月1日から受け付けると発表した。また市内では通所型障がい者福祉施設でクラスターが発生。加えて、全国の幼稚園と小中学校に抗原検査キットの配布などが行われる。これらの事項について、新潟市議会議員、小柳聡(34)氏に話を聞いた。
目次
◎49歳以下のワクチン接種について
◎デルタ株感染拡大を受けての学校園の対策
◎コロナ禍での障がい者福祉施設の支援
49歳以下のワクチン接種について
記者 9月1日から始まるワクチン接種について教えてください。
小柳 9月1日から49歳以下のワクチン接種の予約が始まります。30〜39歳は9月4日(土曜)、12〜29歳は9月7日(火曜)から開始されることが、8月23日に発表されています。発表前、政令指定都市で全国的に感染が拡大している40代以下の世代への接種について目処が立っていなかったのは、20市中、2市のみで、県内の市町村でもほとんどが接種をスタートさせていました。
記者 何か対策などされたのでしょうか。
小柳 お盆明けに感染が拡大する中、所属する民主にいがたでも49歳以下の接種の早期開始を求め、市当局に要望を提出しました。行動抑制を求めるだけでは効果は見込めず、見通しと行動抑制をセットでお願いしなくてはいけなかったと感じました。
新潟市での新型コロナウイルス感染症ワクチン接種について
http://www.city.niigata.lg.jp/iryo/kenko/yobou_kansen/coronavaccine/main.html
記者 なぜワクチン接種は遅くなったのでしょうか。
小柳 新潟市は、国の供給量減少を理由に見通しを示すことが遅れたと回答しています。加えて、2回目の接種までの供給量を確保、人員配置など、さまざまな部分で望む人が確実に接種できる状態になってから、予約を開始したかったとの話も伺いました。
しかし、災害並の状況になっており、すべてが完璧な状態になってから走る、いわゆる役所的な発想ではなく、「走りながら動く」ことも重要です。また、市民へのメッセージという意味でも、早期に開始する必要があったと考えています。
記者 高齢者へのワクチン接種はいかがでしょうか。課題などありますでしょうか。
小柳 65歳以上の接種では、電話回線がパンクしてなかなか繋がらない、予約が取れないなどの市民からの声を多く頂きました。想定接種率が低かったこと、集団接種会場での接種枠の少なさ、会場へのアクセスなど、接種希望者のニーズをしっかり把握できていなかったことが大きな要因であったと考えられます。
そこで、6月定例議会では、49歳以下の世代については、インターネット等を通じた接種意向を確認するためのサンプル調査を提案しました。市も提案を前向きに受け入れてくれ、アンケートを実施頂きました。結果的に、7,000人以上の市民から回答を得ることができ、接種意向、希望時間帯、会場などについて、傾向を得ることができました。
アンケート結果へのリンク
https://www.city.niigata.lg.jp/smph/iryo/kenko/yobou_kansen/coronavaccine/questionnaire.html
記者 これからのワクチンの接種率向上のためには何が必要ですか。
小柳 アンケート結果をしっかり活かすことはもちろん、アンケートの結果に固執することなく、状況を見て柔軟かつスピーディーな決定が必要になります。集団接種、個別接種の割合についても、35:65を想定するなどアンケート結果から傾向を得ることができたことは大きいですが、想定と違い集団接種希望が多い場合は、会場を増設するなどが必要です。また、接種環境を整えるため、例えば、子どもの一時預かりなども考えられます。海外では接種者に金銭的なインセンティブを与える例もあります。接種が個人だけでなく、社会的な便益をもたらすことから、そういった手法も検討すべきです。一方で、体質等から接種ができない方がいるのも事実です。自分自身の体のことに責任を持てるのは自分自身ですので、接種をしない選択肢を尊重する姿勢も重要です。
デルタ株感染拡大を受けての学校園の対策
記者 9月上旬から全国の幼稚園と小中学校に計80万回分の抗原検査の簡易キットが配られるようですが、新潟市ではどういう現状でしょうか。
小柳 文科省を通じて、新潟市教育委員会にも配布されることになっています。8月30日時点で新潟市教育委員会に確認したところ、現時点で配布量が未定のため、確定してから取り扱いを決めるとのことでした。
キットの配布により教職員や子どもの感染をいち早く見つけるのが狙いで、検査対象は教職員、小4以上の児童生徒とのことです。抗原検査は、簡易的に行える一方、PCR検査と比べて信頼性が劣ります。抗原検査で陽性になった場合は確定診断となりますが、陰性の場合は再度PCR検査で確定させる必要があります。現在では、発症2日目から9日目までの患者で症状がある場合は、抗原検査の結果が陰性でも確定診断が行えるようになりましたが、あくまで症状があった場合という点には注意が必要です。
記者 抗原検査の課題などどう感じていますか。
小柳 抗原検査キットは症状があった場合のみ活用ができるため、感染拡大防止の観点から有効性には大きな疑問が残ります。子どもが粘膜からウイルスを採取する作業は非常に困難であり、くしゃみなどで飛沫感染をしてしまう危険性もあります。症状がある子どもに無防備で検査を行うことは感染拡大防止の点からも好ましくないとのお話を、齋藤昭彦新潟大学教授からも頂きました。
症状があった場合は出席停止扱いにする、すぐに自宅に帰れる体制を作ることなどの対応があくまで基本であり、いかに感染拡大を防ぐかについて、ガイドラインの見直しが必要です。具体的には、保護者等が濃厚接触者に特定されPCR検査を実施した場合、現在の規定では出席、欠席を本人が選択することができます。感染拡大の観点から、検査結果が出るまでの1日は登校できないようにして、出席停止扱いとして欠席扱いしないなどが必要です。この点について市に求めていますが、学ぶ権利を保障する観点から、登校を制限するのは難しいとの回答を得ています。
コロナ禍での障がい者福祉施設の支援
記者 新潟市の障がい者福祉施設クラスターを受け、要望を提出されたとお聞きしましたが、お聞かせください。
小柳 7月の新潟市での障害者福祉施設における新型コロナウイルスの感染は、18施設、30人の感染にも及ぶ広い範囲において拡大するものとなりました。このような状況になった主な原因として、障がい者福祉サービスの特徴ともいえる一人の利用者が複数の事業所のサービスを利用しているということが考えられます。
今回のような感染拡大を防ぐため、所属する会派として当局に要望を提出しました。今後、当事者の施設に実態をヒアリングするなど通じて、少しでも感染が拡大しないような体制づくり、利用者、施設の職員が安心できる環境づくりを進めていくことになります。
記者 施設に訪問されたとお聞きしましたが。
小柳 実際に施設を訪問し、管理者、現場の方から話を伺いました。利用者にマスクの利用をお願いしましたが、特性上なかなかつけていることが難しい現状を目の当たりにしました。その中、職員はマスク、ゴーグルを着用、換気、消毒の徹底など、施設側は可能な限りの対策を実施していましたが、マスクの着用が難しければ今後も感染が拡大する可能性はあります。一方で、障がい者福祉施設の通所型サービスは本人、家族にとって必要不可欠な福祉サービスであり、場所でもあります。職員が感染を怖がり、仕事を続けられないのではないかとの不安の声も聞こえました。9月末には、国から施設への加算措置が切れてしまいます。行政として、施設への加算措置など何らかの対策が必要ではないかと感じていますので、引き続き対応を求めていきます。
この記事は新潟市議会政務活動費で発行されています。