【ブランディングコラム #10】本物が揃う店『久保田NIIGATA』のブランディング|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)

こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。

このコラムでは、昨今注目されている「ウェルビーイング」について、「ブランディング」の観点からビジネスや人材育成に役立つ情報をお届けしています。

今回は、今年3月に新潟駅にオープンしたお店『久保田 NIIGATA』の店舗ブランディングについて、取り組みの内容やこだわりをお話しします。ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

 

ひたむきな姿勢を示す“正道”がコンセプト

この春、新潟駅の駅ビル「CoCoLo新潟」のリニューアルオープンが話題になっています。

そんな中、アドハウスパブリックでも「CoCoLo新潟」に新しく完成した素敵なお店のブランディングに携わらせてもらいました。それが、朝日酒造さまのお酒を取り揃えた新店舗『久保田 NIIGATA』です。

計画がスタートしたのは、2022年の秋頃。新潟駅に新しくお店を構えるということでご相談をいただき、コンセプトや見せ方、店舗内装やパッケージデザイン、取扱商品の選定など、トータルでプランニングをお任せいただきました。

コンセプトは、“正道”。

もともと朝日酒造さまの酒造りのコンセプトとして、“正道を歩む”という考え方があります。正しい道を行く。だから、酒造りにしても経営にしても、小手先のことはしない。とにかく誠実に、これが正しい道だっていうのを貫き通して、今があるんですよね。

だから、新潟の中心である新潟駅で “朝日酒造ここにあり”ということを日本全国、そして世界に発信するためのお店を目指したいと考えました。そのためには、一級品のお酒と食が揃う本物にこだわったお店にしたい。そして、ここで商品を選ぶ・買う時間が特別なひと時になるようなお店にしたい

そんな想いで“正道”というコンセプトのもと、お店づくりがスタートしました。

 

“本物”にこだわり抜いたお店づくり

コンセプトが決まってからは、定期的に打ち合わせを重ねながらオープンに向けて動き出していきました。プロジェクトは多岐にわたるため、今回はその中から2点のこだわりに絞ってお伝えしたいと思います。

まず1つ目は、お店の主役となる商品のラインナップ選定

朝日酒造さまの定番銘柄「久保田」「朝日山」「越州」をはじめ、季節限定酒や日本酒ベースのリキュール、スパークリング日本酒など幅広いお酒が揃っています。

また、お酒だけでなく「のっぺ」など新潟で昔から親しまれてきたお惣菜や、日本酒や酒粕を使った甘味などの食品類も販売。

お土産として、新潟の味を持ち帰ってもらいたい。そして、地元の方には普段とはちょっと違った贅沢感があるお酒や食品を味わってもらいたい。そんな想いを軸に商品を選定していきました。

食品類は、パッケージのリニューアルも実施。新潟のお土産・手土産として、誰かに渡したくなるようなデザインに仕上げました。

そして2点目は、お店の中で一際目を惹く和紙とLEDディスプレイを組み合わせたお酒のギャラリー

酒瓶が並ぶテーブルはLEDディスプレイに和紙を重ねており、桜や花火、錦鯉など、季節ごとにさまざまな映像が流れます。これは、朝日酒造さまが本社を構える、新潟県長岡市越路地域の美しい自然風景をイメージしたもの。

LEDの光が和紙を通すことでふんわりとした柔らかい雰囲気になり、季節感を感じさせながらも独自性のある面白い映像になっています。この和紙を使ったLEDのディスプレイは、おそらく世界でも他に類を見ないものだと思います。

この繊細な表現の要となったのが、和紙です。制作したのは新潟県柏崎市門出地区で伝統的な和紙づくりを行う、越後門出和紙(えちごかどいでわし)さま。実は、「久保田」のお酒のラベルに使われている和紙を手づくりしているのが、越後門出和紙さまなんです。

伝統を守りながらも、さまざまな素材を使った新しい表現を探求し続けている越後門出和紙さま。LEDに重ねるにはどんな和紙が適しているのかたくさん検証を重ねる中、こちらの要望に寄り添いながらとても快く柔軟に対応していただきました。ものづくりに対する姿勢は、まさに正道そのもの。それを肌で感じられたことも、すごく良い刺激になりました。

 

日本中、世界中の人に愛されるお店へ

実際に完成したお店を見に行ってみると、品のある本物の佇まいだなと感じました。また、お店を訪れる多くのお客さまが動画や写真を撮影している様子も見かけて、私たちの想いが伝わっているのだなと嬉しくなりました。

やはり、本物の和紙を使うことや、細部までこだわって作り込んだことが、全体の“本物感”や洗練された空気感を醸し出しているのだと思います。

実際に見てみたくなる、足を運んでみたくなるお店。コンセプト設計の段階で考えていた、“朝日酒造ここにあり”という姿勢を示すお店づくりができたのではないかなと思っています。

観光や出張で遠方から新潟を訪れる方にも、普段から新潟駅を利用している地元の方にも、たくさんの方に楽しんでいただけるお店になれば幸いです。

今回はここまでとなります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

関本 大輔(せきもと だいすけ)

株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。

お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。

米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。

 

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