【動物愛護センターから】災害時に困らない!飼い主さんの備え(その2)獣医師・遠山潤
避難先は一つじゃない
災害時の避難先、多くの方は市町村の指定した避難所に行けばいいんじゃないの、と考えていると思います。豪雨や台風の際の避難行動について、内閣府では以下のように広報しています。
警戒レベル3や警戒レベル4が出たら、危険な場所から避難しましょう。「避難」とは「難」を「避」けることです。安全な場所にいる人は、避難場所に行く必要はありません。避難先は小中学校・公民館だけではありません。安全な親戚・知人宅やホテル・旅館に避難することも考えてみましょう。
指定避難所へ行くことだけが避難ではない、ということを知ってほしいのです。自分と家族と大切なペットを守るためにどうすればよいか、あらかじめ考えておきましょう。
まずは、自分の家は避難が必要な場所かどうかハザードマップで確認します。2階に上がれば「難」を「避」けられるなら、2階への垂直避難もありです。家を出て避難する場合も、安全な場所に住んでいる親戚や「犬友」、「猫友」の家なら公共の避難所よりも気兼ねなく過ごせます。万が一、自分の家が災害にあった際にペットと一緒にどのような避難行動をするのかシミュレーションしてみることが大事でしょう。
もちろん市町村が設置する指定避難所を否定しているわけではありません。新潟県内の指定避難所の多くはペットを連れて行っても受け入れてくれることになっています。しかしケージなど飼育に必要な備品は備蓄されておらず、必要なものはすべて飼い主が持ち込む必要があります。
また、避難する際はペットがいるからこそ、車での避難が現実的なわけで、道路が冠水したりする前、警戒レベル3で早めの避難を心がけましょう。
いずれの避難方法を取るにせよ、ライフラインの途絶なども考え、一週間程度の食料や水の備蓄が必要となります。もちろんペットが一緒ですので、ペットのお薬やフード、トイレ用品などもストックが必要です。家には1か月分程度の在庫を置き、減ったら買い足すローリングストックをペット用品にも広げましょう。
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遠山潤
1963年生まれ、新潟市出身。帯広畜産大学卒業。獣医師。現在、新潟県職員として新潟県動物愛護センターに勤務。2004年に起きた7.13水害、新潟県中越大震災以降、県職員の獣医師としてペットの災害対策に取り組み、環境省の各種ペット防災関連事業ではアドバイザーを務めている。
(編集 湯本泰隆)