新潟県津南町 桑原悠町長の町長奮闘記「地方創生のためには女性の声が欠かせない」
この冬、こちらは16年ぶりに4メートルを超える大雪となりました。盛んに「観測史上最高」と報じられ、今年も例外なく全国ネットの存在になりました。正確には、現在のアメダスの観測地点は平成2年に設置されたもので、それ以来最高という意味です。
いずれにしても多かったですが、この雪が、暮らしや産業に必要な名水や電力エネルギーを生み出します。厳しい冬を乗り越えるための知恵や忍耐力、優しさや助け合いの価値観も。
こうした警報級の大雪の時も、台風の時も、新型コロナの感染拡大時も、いつでも駆けつけ対応にあたることができるよう、愛車のジムニーは2台目となりました。災害時にはもってこいなのです。この職は、自分の覚悟だけでは十分でなく、支える側の家族の覚悟があって成り立つ務めだと思います。
夫が水害時に子供を伴って、町役場に寝袋を届けにきたことも。一年ごとに子供は成長し、私は強烈な風邪を移されることもなくなり、今では「ママ、仕事はしっかりやらないとね!」と言われ送り出されるようになりました。町長業と幼児の子育ての同時進行は、慣れるまではまるで取り憑かれたようでしたが、自分を強くするのに役立ちました。
今日、地方創生のためには女性の声が欠かせないものになっています。女性が住みやすいと感じなければ、地域は持続できません。津南町は、部署横断で若手職員らが結集し、移住定住プロジェクトチームをつくり、「今いる人とこれからの人で豪雪(めぐみ)と共に暮らしをつくる」をテーマに決め、施策を充実させている最中です。
今回は女性職員も取りまとめ役となりました。今後ますます女性感覚も取り入れたいと考えています。雪国のウェットな空気がお肌にも良いことももっとPRしたいですね。真面目な話ですが、住みやすさのためには女性の給与水準アップや、地方で女性のキャリアモデルが色々と見えてくることを期待します。
近くに親がいれば、子育ての援助や相談に乗ってもらえるというのも地方で暮らすメリットとなるかもしれません。周りの力を有機的につなげ、「自分仕様」をつくることで、女性活躍が自分のものになっていくのではないでしょうか。
桑原悠
1986年新潟県生まれ。2009年早稲田大学社会科学部卒業(2007年から1年間、米国オレゴン大学に単位交換留学)、2012年東京大学公共政策大学院修了(公共政策学修士)、2011年津南町議会議員選挙に出馬し、初当選(当時25歳)、2018年津南町長選挙に当選(当時31歳)。2019年内閣官房・内閣府未来技術×地方創生検討会委員に就任、2020年内閣官房国・地方脱炭素実現会議委員に就任、2021年国土交通省国土審議会計画部会委員に就任。