億り人を超える投資コラム第5回~「生活防衛」せずして億り人ならず~(個人投資家 元財務官僚・元衆議院議員 石﨑徹)
こんにちは。GWいかがお過ごしでしたでしょうか?
久しぶりの旅行に行かれた方もおられたでしょうが、家で掃除をしたり不用品を中古品店に売りに行ったり、あるいはリサイクル品を購入した方もおられたのではないでしょうか。
〇コロナ断捨離とインフレが新たな需要と供給を生み出す
実は、中古品市場は急拡大しています。内藤証券が発表した資料によれば、2022年には3兆円に達し、2025年には3.5兆円に成長すると見ています。リユース関連企業の月次売上高も前年同月比で拡大が続いているようです。
コロナ禍で家にいる時間が増え、断捨離をする中で中古品として売ってしまおう。また、中古品で売られているものの質が高まり、量も増えてくる中で購入された方も増えてきているのではないでしょうか。
そのような中で、世界情勢の影響で物価高インフレ社会が到来しました。コロナによる生活スタイルの変化、価値観の変化に、インフレ社会という大きな変動が起こり、以下の関連企業群には大きな追い風、成長が期待できます。むしろ、我々の生活もこうした企業の成長とともに豊かになっていく、といっても過言ではないのかもしれません。
〇中古品関連企業は供給拡大体制
関連企業は、新潟の企業である(株)ハードオフコーポレーション(2647)、中古本といったらブックオフコーポレーション(株)(9278)、セカンドストリートで有名な(株)ゲオホールディングス(2681)、最近身近に見るようになった貴金属リユース販売の(株)コメ兵ホールディングス(2780)などが挙げられますが、いずれも今後の物価高インフレ社会においては「生活防衛」のシェルターの役割を果たし、成長が続くのではないでしょうか。
今後あちこちでこうした企業の店舗を見られるようになるでしょうし、ネットでも見聞きすることが増えるでしょう。それが更なる需要と供給の拡大を生み出す好循環に。
〇100円ショップも「生活防衛」のシェルター
100円ショップはとても優秀な製品を安く販売していますね。(株)セリア(2782)はまもなく決算発表ですが、足元株価は底値水準にあります。(株)キャンドゥ(2698)は株価は反転傾向にあります。薄利多売ビジネスでありますが、今後の物価高インフレ社会においては「生活防衛」のシェルターの役割を果たし、成長が続くのではないでしょうか。
〇「終活」市場は「就活」市場よりも成長見込み
テレビCMでも最近お馴染みとなった(株)バイセルテクノロジーズ(7685)は、わざわざ店舗に行くことの困難なお年寄り宅に出張買取をするビジネスで急拡大しています。着物などの高額品の買取販売なども行って、今まで中古品市場に出てくることがないような高齢者宅に眠っている商品を市場に出しています。今後は遺品整理ビジネスは拡大が見込まれます。
「就活」世代の新成人の数は右肩下がりである一方、「終活」世代の人口は右肩上がりです。人口オーナス、ボーナスといった単純なマクロ情勢から投資先を考えることもありだと考えます。
〇令和の「蔵」 ストレージビジネス
コロナ禍で家を増改築する人が増えたり、より広い家を求めて、郊外の住宅を購入する、中古住宅を購入する人が特に首都圏で増えました。時間と空間の価値観も変わりつつありますが、この点コンテナを空き地に並べて家に置けない商品をそこに月極でストックする人が増えています。また、趣味のコレクションなどもそこで安全に管理するといった人も増えているようです。古来、日本家屋には「蔵」がありました。物を大切にする文化は脈々と続いています。
先日、こうしたトランクルーム関連企業の(株)ストレージ王(2997)が東証グロース市場に新規上場しました。今後の株価動向も要チェックです。
〇世界市場を取り込めるか。
一方、(株)メルカリ(4385)は米国で苦戦が続いており、株価は冴えません。リユースに慣れているのは日本国民の特性なのか、国民性の違いがあるのか。SDGsの観点からも世界的な潮流になれば、日本のリユースハイテクグロース企業が世界企業に育つ可能性もありますが、今のところまだ確実には読めません。
そもそも、超少子高齢化、インフレ、景気低迷という三重苦に苦しむ日本独自の成長市場なのかもしれません。ただ、世界的なインフレが、生活防衛力を高めようとする流れを生むはずであり、これまで紹介してきた日本のリユース企業は世界に飛び出しても良いのではないかと考えます。
〇投資業界の流行語
「終活」・「生活防衛」・「リユース」・「ストレージ」はインフレ禍における投資の流行語、キーワードになりそうです。関連企業は他の小売企業よりは成長期待が望める企業も多く、株式投資の観点からは「買い」の状況が暫く続きそうです。
余談ですが、私も本立てをGWに100円ショップで買いました。同等の物をホームセンターで見ると、300円近くてビックリしたGWとなりました。ビックリも「買い」か。
石﨑徹
元衆議院議員 個人投資家。新潟市生まれ。38歳。財務省職員を経て、2012年衆院初当選。3期務め、投資会社であるT.I.J株式会社を設立。日々世界中の市場をウォッチしながら投資活動を政治活動の傍ら続けている。時事テーマにも切り込むYoutube番組「落選党」も主催