日本銀行新潟支店長は重要ポストってご存知でしたか?~内田真一新副総裁は元新潟支店長!~ 元衆議院議員 個人投資家 元財務官僚 石崎徹
皆様 こんにちは。
年始はバタバタしており、今年はじめてのコラムとなります。遅くなりましたが、今年もよろしくお願い致します。さてさて、今回のテーマは日銀新潟支店長の知られざるエリートコースというテーマです。日銀新副総裁の内田真一氏も、元新潟支店長なのです。
○雪解けムードの1月
さて、昨年12月にもコラムを書きましたが、黒田総裁が放った「逆バズーカ法」がマーケットにおいて大変不評で、1月には修正的発言がなされました。金融緩和をゆるやかに継続する期待感が生まれ、日本株は上昇基調となりました。昨年の1月の暴落相場とは大違いの年初でした。世界的にも、欧米の暖冬によるエネルギーインフレの鈍化、IMFなどの国際機関による世界経済見通しが比較的楽観的に発表されたことなどを起因とする、『雪解け』ムードの株式相場となっています。
○1年で160億ドル以上も稼いだファンドも!
去年を振り返りますと、多くのヘッジファンドがかなり厳しい投資収益となったようです。一方、シタデルのように昨年1年間で約160億ドルを稼ぎ、1年間で挙げた利益としては過去最大であったという驚異的なヘッジファンドも存在しました。このヘッジファンドはオルタナティブ(代替)投資という、株式や債券以外の金融商品への投資を組み合わせる手法を活用しているとのこと。その前提にあるのは、「オルタナデータ」という経済統計以外のデータの活用です。例えば、小売業者のPOS(販売時の情報)データやSNS(交流サイト)の投稿などをデータ化して、投資先の企業の業績や投資商品の相場見通しに生かしているそうです。
余談ですが、今後の投資家は、経済指標の発表に右往左往するのではなく、独自のビッグデータを活用し、株・債券のみならずあらゆる金融商品で適切なポートフォリオを組むことができるものが勝つのでしょう。
また、グローバルマクロ型のファンドも好業績だったとのことです。これは文字通り、世界中の金利や商品価格、地政学リスクなどなど、世界経済全体を見て投資を行う手法ですが、ウクライナ問題しかりインフレによる金利の急速利上げしかり、世界中を見通しながらの投資が今後も必要であることを示したものではないでしょうか。
このコラムも、ミクロや地域の話題から、グローバルな話題まで今後の投資においてヒントとなるテーマで今年はもう少し頻度を上げて掲載していきたいと思います。
○内田真一新副総裁は、日銀新潟支店長を経験したプリンス
さて、最近の話題はもっぱら、日本銀行の新総裁・副総裁人事です。これほど世界から注目される人事というのもなかなかありません。正直、日本の総理大臣についてのニュース以上に大きなニュースとなっています。
植田和男新総裁については、次回のコラムで書きますので、今回はわれらが元日銀新潟支店長の内田真一氏について、書かせて頂きます。ざっと経歴をまとめると以下の通りです。
○内田真一氏プロフィール
1986 年東京大学法学部卒、日本銀行入行。
2004年企画局政策運営企画総括
2008年総務人事局参事役
2010年日銀新潟支店長 ←新潟!
2012年日本銀行企画局長 ←40代での異例の抜擢
2017年名古屋支店長
2018年国際担当理事
2022年日銀理事再任
黒田東彦総裁が2013年に異次元緩和を導入した際、制度設計の実務を担ったキーマンの一人が内田氏でありプリンスと呼ばれるホープでした。企画ラインにずっとおられ、白川前総裁時代にも量的緩和の解除や久々の利上げという難事業に取り組み、その後40歳代の若さで新潟支店長から企画ラインの重要幹部である「企画局長」に起用された経歴を持ちます。将来的にはプロパー出身の日銀候補とも呼ぶ声もあるようです。
○新潟支店長の新年の挨拶は常に注目
皆様も、新潟商工会議所の新年会に出席したことのある方もいらっしゃるかと思いますが、私も含む政治家の(中身のあまり無い)挨拶の後、日銀新潟支店長による乾杯の挨拶がおこなれます。今年の新潟経済や日本経済の先行きについても、端的に教えてくれる重要な挨拶です。
私は財務官僚から政治家に転身したのが、2012年であり内田さんの乾杯の挨拶は聞けず仕舞いでしたが、上記のとおりのプリンスであればさぞかし重要なご挨拶をされたのだと思います。
白川の白から、黒田の黒への大転換においても、企画局長として、2週間ほどの突貫工事で「異次元緩和」の原案をつくりあげたそうです。マイナス金利政策の導入やイールドカーブ・コントロール(YCC)路線にも企画局長として携わった経験がおありです。
すなわち、どのような体制においても、臨機応変に政策変更の実務を担えるという、ある意味なくてはならない現場の実働部隊長であり、総裁以上に重要なポストなのかもしれません。
新潟の経済は内田支店長時代から、殆ど変わらない、いやコロナも経てむしろ後退している状況ですが、今後はデフレの脱却というテーマというより、インフレ下で適切に賃金上昇が行われ、名目・実質ともにプラス成長を記録できる日本経済を実現する役割を果たさなければなりません。
ただでさえ、物価安定というマンデート・使命しか明記されていない日本銀行において、今後は新潟も含む地方でも、景気・雇用の好循環が生まれるマクロ経済のよい環境整備を新潟支店長時代に感じ取られた地方新潟の苦しみを踏まえて実現していって欲しいと思います。
そして今後、にいがた経済新聞さんも毎年の新年の日銀新潟支店長の挨拶について、動画でも配信していくべきですね。
石﨑徹
元衆議院議員 個人投資家。新潟市生まれ。38歳。財務省職員を経て、2012年衆院初当選。3期務め、投資会社であるT.I.J株式会社を設立。日々世界中の市場をウォッチしながら投資活動を政治活動の傍ら続けている。投資テーマのYoutube番組「当選党ファンド」も主催。