「週2日フルリモート複業社員」の働き方(特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長 サイボウズ株式会社勤務 竹内義晴)

竹内義晴と申します。わたしは妙高市でしごとのみらいというNPO法人を経営しながら、サイボウズというIT企業でも働いています。

いわゆる複業(ふくぎょう)という働き方ですが、「複業」とは、メイン(本業)とサブ(副業)がある「副業」とは異なり、「複数の本業がある」という働き方です。

新潟県内では、こういった働き方をしている人はまだ少ないかもしれません。これまでは「1つの会社で」「フルタイム働く」という働き方が一般的でしたから。

実は、過去を振り返ってみると、こういった働き方自体は特別めずらしいことではありませんでした。特に新潟県内では、かつて「会社員でありながら、農業もしている」兼業農家さんがたくさんいましたし、個人レベルでは「夏は観光の仕事をし、冬は除雪の仕事をする」のように複数の仕事をしている人も少なくありません。これも、複業の一種です。

とはいえ、兼業農家は減っていますし、現段階では、こういった働き方をしている人はまだ少数派かもしれません。実際「どんなふうに働いているのですか?」と、よく聞かれます。

そこで、この記事では、現在のわたしの働き方についてお話をしたいと思います。

 

「週2日複業社員」の働き方

いまほどお話したように、わたしには大きく分けて2つの本業があります。

時間の使い方としては、月曜日から水曜日がしごとのみらいの仕事。木曜日と金曜日がサイボウズの仕事。土日はプライベートだったり、書き物など、ちょっとシワが寄った仕事を土日に片付けたり……といった具合です。

しごとのみらいは自身で経営しているため、時間の裁量がある程度あります。一方、みなさんが気になるのが、サイボウズにおける「週2日の働き方」ではないかと思います。

サイボウズでは2017年に働き始めました。雇用形態は「週2日働く正社員」です。「そんな働き方、あり得るのか?」と思われるかもしれませんが、複業に関わらず、すでに短時間勤務で働く人もいるように、雇用自体は、週2日でもそれほど制約はありません。健康保険や年金は会社のものに入っています。

所属している事務所は東京ですが、妙高市在住のため、普段の働き方はテレワークです。

働き始めて最初の2ヶ月は出社しましたが、日常的な業務のやりとりは、会社にいようがいまいがに関わらず「グループウェア」と呼ばれる情報共有ツールを使いながら進めていました。そのため、働き始めて比較的早い段階で、「仕事に必要な情報はすべてオンライン上にあるから、これなら、地元妙高でも仕事ができるな」と感じ、フルリモートに切り換えました。

このような話をすると、「それはIT企業だからできるんだ」と言われます。しかし、IT企業でも、紙中心で業務をまわしている会社もあります。テレワークができたのは「IT企業だから」ではなく、「オンラインのツールを活用して、情報共有しながら仕事を進めていたから」です。

情報共有しながら仕事を進めているのは、「情報格差ができないように」「業務が属人化しないよう、協力しながらできるように」「効率的に業務ができるように」「時間や場所に関係なくコミュニケーションが円滑にできるように」といった理由です。これらは、IT企業か否かに関わらず大切なことではないかと思っています。

働く時間は週2日でも、業務に必要な情報は得られるため、労働時間や場所に関わらず仕事ができています。

 

サイボウズが働き方改革を進めたのは「人材確保の経営課題を解決するため」

ところで、サイボウズがこのような会社に変わってきたのはここ15年ぐらいです。以前は、過度な残業もいとわないような、いわゆる「昭和的な働き方」が当たり前の会社でした。2005年の離職率が28%、4人に1人が辞める会社です。採用も難しく「さすがに、このままではまずい」と、働きやすい会社を目指した経緯があります。

そうです。「人材確保の経営課題を解決するための取り組み」だったのです。

「人材確保の経営課題」といえば、新潟の企業でも起こり始めているのではないでしょうか。

これをお読みのみなさんもきっとご存じだと思いますが、日本ではいま人口減少が急激に進んでいます。1年に1つの県がなくなるぐらいの勢いで減少しており、人口減少は数十年にわたる決定事項です。

その影響で、労働力人口も減っています。ひょっとしたら、みなさんの会社の中でも「新たな人材を採用したくても、採用できない」といった課題が表面化しつつある会社も、あるかもしれません。

また、「理由はよく分からないが、若い世代の離職率が増えている」会社もあるでしょう。

もし、人材確保が経営課題になりはじめているのなら、「働きやすい会社」を目指すことが1つの解決策なのかもしれません。

竹内義晴

特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長。「楽しくはたらく人・チームを増やす」が活動のテーマ。コミュニケーションや組織づくりの企業研修・講演に従事している。

2017年よりサイボウズ株式会社 にて複業開始。ブランディングやマーケティングに携わる。複業、2拠点ワーク、テレワークなど、これからの仕事のあり方や働き方を実践している。また、地域をまたいだ多様な働き方の経験から、2020年より一般社団法人妙高市グリーン・ツーリズム推進協議会 にて、ワーケーションをはじめ地域活性化の事業開発にも携わる。

著書に、『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)』などがある。

 

【過去の連載記事】

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