「成功裏に閉幕したG7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議」 新潟県元副知事・中国運輸局長 益田浩

7月になりました。今は各地で紫陽花が見頃となる梅雨の季節です。広島市でも築庭400年を越える歴史がある縮景園などで、紫陽花がきれいに咲いていました。これから梅雨の終盤にかけて、雨が狭いエリアで集中的に降る傾向があるため、大きな災害が起きないことを祈っています。そして、私は6月末で広島市にある中国運輸局に赴任してから1年となります。運輸局長のポストは概ね1年間から2年間であり、私の前任、前々任とも1年で交代していることから、私も落ち着かない気持ちになりますが、この原稿が投稿される頃には結果が分かっていると思います。どうなりますやら。

さて、今回の投稿で早くも9回目となります。テーマの流れが当初の想定より遅めに進んでおり、もうしばらくお付き合いいただきます。前回、G7広島サミットを取り上げたので、今回は、同じく成功裏に閉幕したG7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議に触れ、この中で発信された新潟の魅力を取り上げます。

G7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議は、今年5月11日から13日まで、朱鷺メッセで開催され、ウクライナ支援などを盛り込んだ共同声明が採択されるなど、大きな成果を上げました。会議の内容もさることながら、会議に際して、大いにアピールされた新潟の魅力の数々、例えば、披露された新潟の伝統文化、提供された食や酒類、お土産として渡された県産品、オプショナルツアーの訪問先とされた観光資源などは、新潟の懐の深さを世界に伝える素晴らしい機会になりました。私自身、懐かしいなと感じながら、会議の報道に接していたので、ここで振り返ってみたいと思います。

まず、11日に開催された歓迎レセプションから行きましょう。このレセプションには約400人が参加し、鼓動の演奏と古町芸妓の舞がオープニングパフォーマンスで披露されています。うーん、これはさすがの組み合わせと言うしかありません。冒頭から、各国代表団の度肝を抜いであろうことは容易に想像できます。会場では、県内89蔵の地酒バーが設けられ、ライブキッチンで新潟和牛や寿司などが提供されたと聞いていますが、もう少し細かくメニューを見てみると、魚沼産コシヒカリと新之助のおにぎり食べ比べ、村上茶を使用したお茶漬け、南蛮海老の天麩羅、ル・レクチェのコンポートと生ハム、若鶏の唐揚(カレー風味)、のっぺ、笹団子等々が並びます。文字を眺めているだけでお腹が空きます。新潟に戻りたいです。スパークリングワインはカーブドッチワイナリーで、岩の原葡萄園や越後ワイナリーのワインも提供されています。樽割りは石本酒造の越乃寒梅でしたか。その会場で参加された方々が羨ましい限りです。レセプションのお土産は、亀田縞の風呂敷と錦鯉をデザインしたタオルとか。これも新潟らしくていいですね。柿の種も提供されたはずと気になっていますが、資料を見ると、米粉を使った菓子もデザートとして提供されており、これは柿の種かなぁ。ご存知の方は教えてください。その他、会議の際には、雪室珈琲も提供されています。

そして、各国大臣・中央銀行総裁への記念品には、燕市の金属製品が選ばれました。燕市には多くの友人・知人がいて、燕三条エリアの企業が工場を開放し、ものづくりの現場を見学できる「燕三条 工場の祭典」は毎年楽しみにしているだけに、馴染みがある金属製品が記念品として選ばれたことは誇らしく思います。このうち、まどろむ酒器は5月12日に開催された日本政府主催の夕食会で乾杯の酒器として使用されたと聞いていますが、私も持っています。

・鈴木財務大臣・植田日本銀行総裁から
各国大臣・中央銀行総裁へ 山崎金属工業のYUEN(由縁)6本セット、
各国代表団へ 燕市磨き屋一番館のぐい呑み(24金仕上げ)2個セット、
・花角県知事から各国大臣・中央銀行総裁へ
新越ワークスのまどろむ酒器(桜・花火)2個セット、
ホリエのチタンストラー6本セット、
トーダイのアルミアイスクリームスプーン2本セット

新越ワークス まどろむ酒器(桜・花火) ThreeSnow HPより

今回、会議のメイン会場となったホテル日航新潟では、各国大臣・中央銀行総裁等に対するワーキングランチやワーキングディナー、日本政府主催の夕食会など、会議中における全ての食事を提供していますが、実際に提供されたメニューにアレンジを加えたコースやアラカルトメニュー、ドリンクを「G7新潟財務大臣・中央銀行総裁会議記念メニュー」として提供しています。G7開催記念コース料理は洋食メニューをアレンジしたフルコースで、料金は1人28,000円(サービス料・消費税込)、アラカルトメニューは単品料理として一皿9,000円(同上)、ともに要予約で、提供人数は10人から70人規模とのことです。人数がある程度まとまった懇親会や企業のインセンティブ旅行などにも人気が出そうですね。新潟県庁で仕事をしていた際は、ホテル日航新潟にも関わりがあったので、朱鷺メッセとともに、新潟のランドマークとして大いに頑張って欲しいです。

最後に、会議のオプショナルツアーを紹介して終わることにしましょう。各国代表団や報道関係者に対して、参加費無料で新潟の魅力を発信するツアーが5コース用意されました。
① “豪農の館”北方文化博物館コース(新潟市)
北方文化博物館、三人餅つき体験、峰村醸造
② 日本庭園とみなとまち新潟コース(新潟市)
旧齋藤家別邸、古町芸妓、旧小澤家住宅、新潟市歴史博物館みなとぴあ
③ 岩室温泉体験コース(新潟市)
越後平野、笹祝酒造、いわむろや(足湯体験)、越後七浦シーサイドライン
④ マンガ・アニメコース(新潟市)
新潟市マンガ・アニメ情報館、開志専門職大学アニメ・マンガ学部
⑤ 牡丹鑑賞コース(新潟市・五泉市)
ほたん百種展示館、ラポルテ五泉、今代司酒造
オプショナルツアーの訪問先や体験をざっとチェックして、初見が無かったので安心しました。自分なら、どのコースをお勧めするか、悩ましいですが、①の北方文化博物館は新潟が誇る「豪農の館」の代表格ですし、約200年の歴史がある②の古町芸妓は芸術性と親しみやすさを兼ね備えており、ともに外せません。いずれも新潟に来て初めて出会った新潟すごいわ!の筆頭格です。今回のコースではありませんが、新潟市から阿賀野市、新発田市、関川村を経由して村上市に至る約150kmの街道は、にいがた庭園街道と呼ばれ、新潟県の代表的な日本庭園や豪農の館、寺院、町屋が並んでおり、②で訪問する旧小澤家住宅も含まれています。私もこの街道は大好きなエリアで、しっかりと回りました。

そういえば、⑤で訪れる今代司酒造の代表的な銘柄に「錦鯉」のボトルがありますが、錦鯉は新潟県だけで無く、広島県でも生産が盛んで輸出も伸びています。広島城は鯉城(りじょう)で、野球は広島カープ(鯉)ですからね。G7広島サミットの国際プレスセンターには水槽が設置され、錦鯉が泳いでいました。広島駅にあるお土産コーナーの日本酒売場では「錦鯉」ボトルが売っていましたよ。さすがに新潟産を明記してありましたが。これも鯉つながりの広島と新潟のご縁です。

今回はこのくらいにしておきます。

「錦鯉」 今代司酒造HPより

益田浩

昭和61年3月私立修道高等学校卒業、平成3年3月東京大学法学部卒業。国家公務員Ⅰ種(法律)合格。平成3年4月運輸省採用。平成9年7月運輸省大臣官房人事課付(英国ケンブリッジ大学留学国際関係論)、平成27年7月自動車局自動車情報課長、28年6月大臣官房参事官(税制担当)などを経て、29年7月新潟県副知事。令和2年7月内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官、令和4年6月国土交通省中国運輸局長。

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