【ブランディングコラム #7】社員を輝かせる目標設定のポイント|関本大輔(株式会社アドハウスパブリック)
こんにちは。株式会社アドハウスパブリック代表の関本大輔と申します。
このコラムでは、昨今注目されている「ウェルビーイング」について、「ブランディング」の観点からビジネスや人材育成に役立つ情報をお届けしています。
今回は、前回お話しした人生における目標設定の話に引き続き、職場での目標設定についてお話します。ご興味がありましたら、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
会社の目標と要望をはっきりと伝える
アドハウスパブリックでは、社員一人ひとりが仕事において実現したい目標と、具体的な成長目標(活かしたい強みや克服したい課題)、そのために取り組むことを言葉にしています。それを年に3回見直しながら上司と面談をして、自分のやりたいことを表に出すのです。
はじめはモヤっとしながらスタートする人もいますが、何年かすると自分の目標を進んで話せるようになり、その人自身が輝きはじめる。これは、やはり目標設定の力だと実感しています。
しかし、目標設定には取り組んでいるものの、なかなか成果が得られないという企業さんも多いと聞きます。原因として考えられることは2つあります。
まず1つは、会社自体の目標が明確になっていないこと。会社の目標がはっきりしてないのに、個人の目標を立てろと言われても「いやいや、私何すればいいんですか」となりますよね。
だから、まずは会社やチームの目標をはっきりさせること。それから、リーダー職の人の目標というのも、はっきりさせた方が部下も目標を立てやすくなります。
もう1つは、社員にやってほしいことを会社側がはっきり伝えること。自発性・自主性が必要だとする考えから「目標は自ら立てるものだ」と思っていないでしょうか。間違いではありませんが、そもそも会社としてやってほしいことがあるはずで、そこをはっきり伝えないことには良い目標は立てようがありません。これは必ず伝えるべきです。
弊社では「これをやってほしい」ということを明確に伝えます。ただ、目標を立てることでモチベーションが湧くことも大切なので、一方的な押し付けにしないことも重要。「こうするといいと思うんだよね」と話し合い、お互いに納得した上で目標を決めていきます。
目標を立てて、達成していく。その成功体験を積んでいくと、その人が本当にやりたいことがだんだん見えてくるし、自分の力にも気づけるようになる。そして、それが評価にも繋がり、その人自身が輝くようになるのです。
目標設定の力で“人が育つ集団”へ
この目標設定をアドハウスパブリックで導入したのは、約4年前。デザイナーが多い弊社にとって、技術職・クリエイターの評価は悩ましいものでした。数字による成果だけでは測れない部分が多かったのです。そこで何を大事にするか考えたとき、数字による成果よりも成長の方が大事だと気づきました。
社員一人が持つ力を100%とした場合、20%しか力を出せていなければ、残りの80%は会社にとって在庫になってしまう。だから、一人ひとりが100%の力を発揮できるようにする、つまり生産性を上げることが重要。そのためには成長が欠かせないと考えました。
成長の鍵となったのが、まずは明確なテーマを与えて目標を立てることでした。これをやり始めてから、会社はものすごく変化していきました。人が育つ集団、そして人を育てられる集団になったんですね。これが、今の会社の強みの源泉だと思っています。
会社がやってほしいこと、そしてその人自身が実現したいことをすり合わせながら業務にあたることで、会社の方針と一緒に人が育つようになる。会社の成長と自分の成長が繋がっていることを体感できると、自然とエンゲージメントも高まっていくのです。
対話によって目線やベクトルを合わせる
実は、目標を達成するということは、“その人の変な癖を直す”ことの積み重ねだったりします。
例えば、なかなか電話に出れない人がいたとします。それも、その人の特徴かもしれない。でも、そこを克服することの必要性をちゃんと伝えて「電話に出よう」とまずは認識とベクトルを揃えるのです。
圧迫するのではなくて、その意味や意義を本人にちゃんと伝える。そうすることで、細かいスキルを積み重ねていくのです。その人が今向き合うべきことを一つ一つ潰していくことが、成長に繋がっていきます。
人は、放置されてできないままになっていることが、生産性の悪さに繋がってしまう。それをなくすことで、スムーズに人が育っていくのです。
とは言っても、なかなか話が合わなかったり、理解がずれてしまうことも、どうしても起こります。それもまた面白いですし、まずはやってもらうことも大切だと思っています。基本的には経験して自分で掴まないと、人は育ちません。
対話しながら目標を作って取り組んでいくことは、もちろんきっかけとして大切ですが、最終的にはその人自身が取り組まないと何も変わらない。だから、上手くいかなくてもとりあえずやってもらうこと。それが、その人の“一番良い自分”を引き出すことだと思っています。
人との信頼関係は、すぐに出来上がるものではありません。考え方の違いやコミュニケーションの癖は、あって当たり前。そこをすり合わせて同じ方向を見て走り出すことができると、会社もその人自身も輝いていくのです。
今回はここまでとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
関本 大輔(せきもと だいすけ)
株式会社アドハウスパブリック代表取締役。新潟デザイン専門学校を卒業後、東京の出版社でデザイナーとして勤務。その後、父が設立した会社を継ぐため帰郷し、2013年に代表取締役として就任。
お客さまの本質的な課題解決につながるインナーブランディングと卓越したデザインで、さまざまな企業や事業のブランディングに携わる。過去1,000件以上の実績で、地域・業界を問わず評価されている。
米国ギャラップ社認定ストレングスコーチのほか、越後雪室屋ブランドディレクター・理事、新潟県6次産業化プランナー、新潟市異業種交流研究会協同組合理事長を務める。
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