【私のいない時代を生きる子どもたちへ】自由塾IKINUKIが生まれたわけ。~今日も地域の片隅で~<前編> 内山航(新潟市議会議員)

直近の記事を再掲載します

初回掲載:2024年3月21日

 

また妻の大げさな電話だと思いました。息子のこととなると極端に心配症になる妻です。空手の練習中に小学校3年生に上がる直前の息子が、 頭が痛くて蹲っていると。救急車を呼んだからすぐ帰ってきてほしいと。

空手で頭に衝撃が入ったのかな?

私はこれから青年会議所の打ち上げなんですが。 まさに乾杯の直前。しかも副委員長の私がいないと示しが。と思いましたが、当時の委員長に謝って自宅へ。さすがに救急車呼んだのに帰らないわけにもいかず。

救急車の行き先は西新潟中央病院でしたので、車で向かいます。

向かう途中で妻からの電話。息子はどうも脳出血らしいと。

脳出血?? たしか、脳から出血するあれか? なんで出血した? 空手で頭を打って??

頭が混乱しながらとりあえず病院へ。

息子は寝ていました(正確には寝ているように見えました)。呼吸はあります。先生のお話だと、念のためにCTを取ってみたら、脳から出血があると(こどもの脳出血は極めて珍しいらしいです)。

とにかく、うちの病院でできることは何もないので、新大病院へ行ってくださいと。脳出血しているのに大丈夫なのか? 今も出血が続いているのか?? 様々な疑問をぶつけますが、先生も何もわからないとのこと。

救急車を待ちます。

待つこと1時間。気の遠くなるような時間でした。

そして新大病院へ。新大病院でもCTを取り、脳からの出血はとりあえず止まっているらしいとのこと。では、どうするのか、と聞くと。脳から出血した原因がわからない。わからない以上、頭を開けるわけにはいかないとのこと。再び出血してしまうリスクがあるため。出血が止まっている以上、このまま朝まで様子を見てみると。

朝ひょっこり起きてくる可能性もあります。といわれました。なるほど、そんなこともあるのか、しかし、そのあと日々をおびえながら過ごさないといけないのか?

いろいろな不安を覚えながら一緒のベッドで朝を待ちます。当然一睡もできないわけですが、朝方、息子の息が荒くなって、寝返りを打って、そのまま呼吸が止まってしまいました。

慌てて、ナースコールを。

お父さんとお母さんは部屋から出ていってください! と外に出され、1時間。

先生が説明に来てくれて(最悪の事態もこの時点で覚悟しました)。先生の説明では、脳出血が再び始まったので、薬で脳圧を下げていますとのこと。そして、出血の原因はわからないが、命にかかわるので頭を開けますと。

手術は3時間くらいだったでしょうか。

無事に手術は終わり、脳の出血は止まり、出血した血液は外に出されました。出血による脳の圧迫も最小限にとどまったようでしたが、体にどのような影響が出るかは未知数でした。

一命をとりとめた後の数カ月はできることを増やしていくための作業でした。手が動くようになるまで2週間くらいだったかな。最初に書いた言葉は「家に帰りたい」でした。しゃべれるようになるまで1カ月程度かかったでしょうか。

ずっと夫婦付きっ切りでした。病院にずっといましたね。上の子どもたちがいなければ回らなかったと思います。

どれくらい長かったかというと、1面もそろえられなかったルービックキューブが6面を1分くらいで揃えられるようになるくらいの時間でした(笑)。それくらい病院ではやることがない! やっちゃいけない。パソコンもダメ。

入院中、附属小学校の保護者の方や同じ学年のみんなから5千羽鶴がとどきました。最近までずっと家に飾ってありました。本当にうれしかったです。その恩返しの意味を込めて、退院後、父母教師会に入りました。今年度は附属中学校の父母教師会 「会長」 までさせていただき、少しは恩返しできたかなと思います。

書き忘れていました。脳出血の原因は先天性の動静脈奇形という血管の異常でした。その部分はすべて切除したので今後は大丈夫です。そんな息子もこの春から高校生。 元気に過ごしてくれれば幸いです。

 


後編はこちら→ 【私のいない時代を生きる子どもたちへ】自由塾IKINUKIが生まれたわけ。~今日も地域の片隅で~<後編> 内山航(新潟市議会議員)

内山航(うちやま こう)

1981年生まれ。大学卒業後、パチンコダイナムに就職。国会議員の秘書、衆議院議員選挙挑戦を経て、2015年、新潟市議会議員に初当選。他にも新潟駅南口にある天神尾自治会館で行われている「自由塾IKINUKI」の塾長。単純な学習支援にとどまらず、経営者や財務省を含む行政関係者による特別授業、実験授業等を展開。また、こどもたちが実際に仕入れから包装、ポップづくり、販売までを手掛け実際に現金を稼ぐ授業も好評を得ている。

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